NetSuiteで財務会計を行う前に確認すべきこと3選

NetSuiteはクラウドERPとして、ERP、CRM、販売管理、営業、会計といった経営に必要な機能が全て統合されていることが特徴です。複数の機能を統合したオールインワンシステムとして、データを統合的に管理することができます。

ただ、日本でNetSuiteを使用して財務会計を行うことを検討する場合、いくつか考えるべきポイントがあります。今回はこれらのポイントについて紹介します。

目次

ポイント①:NetSuiteは売上原価対立法であり、三分法は未対応

まず最初に知っておくべきことは、NetSuiteは売上原価対立法を採用しており、変更できない点です。

日本の会社では、商品売買時の仕訳の記帳処理方法で「三分法」を採用しているケースが多いです。そのため、売上原価対立法(商品・売上・売上原価で管理し、売上時に原価計上)と三分法(仕入・売上・繰越商品で管理し、決算処理を行う)では記帳方法が異なるため、注意が必要です。

そのため、記帳方法を変更するか、NetSuiteから出力されたレポートを三分法に従って書き換える必要がありますが、いずれも簡単な作業ではないため、導入前に検討する必要があります。

三分法と売上原価対立法では、下記のように記帳方法が異なります。

三分法(借方)三分法(貸方)売上原価対立法
(借方)
売上原価対立法
(貸方)
仕入時仕入 10,000現金 10,000商品 10,000現金 10,000
売上時現金 15,000売上 15,000現金 15,000売上 15,000
売上原価 10,000商品 10,000
決算整理仕訳
(前期からの繰り越し)
仕入 1,500繰越商品 1,500不要
決算整理仕訳
(翌期への繰越)
繰り越し商品 2,000仕入 2,000

ポイント②:顧問税理士がNetSuiteの業務や出力に対応可能かどうか

上記の記帳方法の問題に加えて、顧問税理士がNetSuiteによるレポートの出力や業務に対応しているかもあわせて確認しておく必要があります。

顧問税理士によっては、特定の製品・サービス以外での出力に対応しない場合もありますので、NetSuiteで財務会計を行う前に一度顧問税理士を交えて確認しておく必要があるでしょう。

ポイント③:現場の作業時間増加を受け入れられるか

国内のクラウド会計ツールを概観しますと、日々の会計業務の工数を削減するための補完機能や自動化、UI的な最適化が図られております。これらのツールと比較すると、NetSuiteで日々の会計業務を行う場合、操作時間が増加することは避けられないでしょう。

もちろん、NetSuiteに慣れることや、定型業務のワークフローによる自動化・最適化を図ることで業務量や時間を減らすことは可能です。問題は、最適化に至るまでに日々業務を回し、改善を図ることが可能かどうかです。これらの改善には現場と一体となって行う必要があるため、導入の段階でプロジェクトに交え、経営層と現場が一体となってプロジェクトを進めることが必要です。

結論:財務会計の利用検討はフェーズ2以降がおすすめ

上記のポイントから、財務会計機能はNetSuiteの導入が落ち着いたフェーズ2以降に進めることを推奨しております。導入段階では、財務会計は既存のツールと併用しつつ、販売管理やプロジェクト管理といった基幹システムで管理したい範囲に集中することで、プロジェクトの期間短縮と成功率を上げることが可能です。

弊社もNetSuiteにて財務会計を行いたいという要望を数多くいただいておりますが、NetSuiteに一本化して財務会計を行うよりも、既存ツールと並行で運用し、必要なデータのみ連携するほうが、トータルのコストや期間を抑えられることが多いです。本社が外国にある外資系企業や、製品の仕入れのない業態などを除いては、並行運用を第一の選択肢として検討することをお勧めしております。

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この記事を書いた人

株式会社ベンチャーネット コンサルティング事業部

保有資格:NetSuite ERP Consultant, NetSuite SuiteFoundation

担当領域:NetSuite導入運用支援、RPA導入運用支援、Webマーケティング、Web広告運用

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