NetSuiteを活用した損益分岐点分析(CVP分析)で利益体質の組織を作る方法

損益分岐点分析(CVP分析)とは、コスト(Cost)、販売量(Volume)、利益(Profit)の関係性を明らかにする管理会計手法です。本記事では、中小中堅企業における損益分岐点分析(CVP分析)の重要性と、それをNetSuiteで実践する方法をご紹介します。

目次

CVP分析とは?企業経営における意義

CVP分析とは、コスト(Cost)、販売量(Volume)、利益(Profit)の関係性を明らかにする管理会計手法です。損益分岐点分析とも呼ばれ、自社のコスト構造や収益性を可視化することで、経営判断や意思決定に役立てることができます。新規事業の立ち上げや戦略策定の際にも、CVP分析は有用な知見を提供してくれるでしょう。

CVP分析の第一歩:固定費と変動費の把握

損益分岐点分析を行うには、まず固定費と変動費を正確に把握することが重要です。固定費は売上高に関わらず一定のコスト(人件費、家賃など)、変動費は売上高に応じて変化するコスト(材料費、外注費など)を指します。NetSuiteを活用すれば、これらのコストを容易に把握・分類することができます。

NetSuiteには、財務会計や管理会計に必要な機能が豊富に用意されています。売上や仕入れ、経費などのデータを一元管理し、タイムリーに分析することが可能です。コストを固定費と変動費に分類する際も、NetSuiteの管理会計機能を使えば、簡単かつ正確に行えます。

NetSuiteで算出するCVP分析の重要指標

コストの把握・分類ができたら、次はCVP分析の重要指標を算出します。NetSuiteなら、損益分岐点売上高、限界利益、損益分岐点比率、安全余裕率といった指標を簡単な計算式を作成することで確認できます。

損益分岐点売上高は、固定費を限界利益率で割ることで求められます。実際の売上高がこれを上回れば黒字、下回れば赤字と判断できます。限界利益は売上高から変動費を引いたもので、売上の利益貢献度合いを示します。損益分岐点比率は損益分岐点売上高の実際売上高に対する割合で、80%以下が理想とされています。安全余裕率は損益分岐点比率の余剰分で、売上減少の許容度を示し、20〜40%ほどが望ましいとされています。

CVP分析の結果を経営に活かすコツ

NetSuiteのダッシュボード機能を使えば、これらの指標を一目瞭然に可視化できます。グラフや図表で、自社の収益性や安全性を直感的に把握することができるのです。損益分岐点比率や安全余裕率から収益性の改善ポイントを見出したり、コスト構造から無駄な支出を特定したりと、CVP分析の結果を経営にダイレクトに活かせるでしょう。

NetSuiteには、部門別や製品別の損益管理機能も備わっています。事業部門ごとに損益分岐点分析を行えば、撤退を検討すべき不採算事業や、さらなる投資で成長が見込める有望事業を見極められます。また、多角化経営を行う企業では、NetSuiteを使って全社的な損益把握と事業ポートフォリオの最適化を図ることもできるはずです。

需要予測とCVP分析で環境変化に強い組織に

CVP分析のもう一つの活用法は、需要予測に基づく営業量のシミュレーションです。NetSuiteの需要予測機能を使えば、季節変動などを加味した需要予測を行うことが可能なため、売上の予測精度を高めることが可能です。これに数パターンの変動費の比率をかけ合わせれば変動費の予測も行えます。 景気変動の大きい昨今では、変動費の上昇を織り込んだ慎重な利益見積もりが欠かせません。需要予測と損益分岐点分析を組み合わせることで、環境変化に強い筋肉質な組織を作り上げていけるでしょう。

CVP分析の習慣化で利益体質を作る

以上のように、NetSuiteを活用したCVP分析は、利益体質の組織づくりに大いに役立ちます。コスト意識の浸透、収益性の改善、外部環境への適応力強化など、様々なメリットが期待できます。

しかし、CVP分析の重要性は意外と認識されていないのが実情です。多くの中小中堅企業では、損益分岐点や限界利益といった言葉は聞いたことがあっても、CVP分析を定期的に実践している企業は多くありません。事業の採算管理が曖昧なまま、経験と勘に頼った経営判断を行っているケースも少なくないのです。

先行きの見通しづらい時代だからこそ、CVP分析に基づくデータドリブンな経営が求められます。自社の強みと弱み、リスクと機会を客観的に把握し、限られた経営資源を適切に配分していくためにも、NetSuiteでCVP分析を習慣化し、利益創出力を高めていくことをおすすめします。

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