新収益認識基準とは何か
2021年4月から適用が開始された新収益認識基準は、国際会計基準のIFRSに準拠した新会計基準です。この基準は、売上高の認識方法や財務諸表への反映方法を大きく変更するものであり、特に上場企業や一定規模以上の企業にとっては対応が必須となっています。
新収益認識基準の最大の特徴は、売上高の認識タイミングを「履行義務の充足時点」に統一したことです。履行義務とは、顧客との契約において約束した商品やサービスのことを指します。この義務を果たした時点で、初めて収益として認識することになります。
従来の日本基準では、出荷基準や検収基準など、企業ごとに異なる売上計上ルールが適用されていました。新基準では、この多様性がなくなり、グローバルに統一されたルールの下で会計処理を行う必要があります。
ただし、履行義務の識別は単純ではありません。一つの契約の中に複数の履行義務が含まれるケースも少なくなく、それぞれの義務に対して取引価格を適切に配分し、充足のタイミングを捉えなければなりません。
NetSuiteが新収益認識基準対応に効果を発揮する理由
新収益認識基準への対応において、NetSuiteのような統合型クラウドERPシステムの導入は非常に有効です。NetSuiteは新基準に対応しており、複雑な収益認識プロセスの自動化を実現します。
特に強力なのが、NetSuiteの「Advanced Revenue Management」というアドオン機能です。この機能により、契約の識別、履行義務の特定、取引価格の算定と配分、そして収益認識までの一連の流れを、一気通貫で管理することができます。
収益認識のルールを定義し、それに基づいて収益認識計画を生成する機能も備わっています。具体的には、プロジェクトの進捗率に応じた収益計上や、収益を一定額で期間按分するようなことが可能です。
また、長期間に及ぶ工事やプロジェクトを扱う事業においては、進行途中に期間や金額に変更が発生することがありますが、そのような際にも同機能においては柔軟に対応が可能です。
加えて、契約内容の変更にも柔軟に対応可能で、常に最新の収益状況をタイムリーに把握し、財務諸表に反映させられます。規則に沿ったタイムリーな会計処理を実現できるのです。
NetSuiteは監査対応力にも優れています。あらゆる取引データや契約情報がシステム上に保存され、必要な証跡をすぐに提示できる環境が整います。新基準で求められる詳細な開示にも、レポート機能を使って効率的に対応可能です。
NetSuiteはビジネス全体の管理を可能にする統合型クラウドERPシステム
NetSuiteの真価は、それが単なる会計システムではなく、ビジネス全体を管理する統合型クラウドERPシステムであることにあります。受注から出荷、請求までの一連の業務プロセスを統合し、営業、在庫、サプライチェーンなどの情報とシームレスにつなげられるのです。
これにより、ビジネス全体の可視化と効率化が飛躍的に向上します。経営判断に必要な数字がタイムリーに提供され、俊敏な意思決定が可能になります。新収益認識基準対応をテコに、経営管理の高度化を進められるでしょう。
新会計基準への対応は、一見すると経理部門だけの課題に思えますが、実際には顧客との接点を持つすべての部門が影響を受けます。NetSuite導入は、組織全体で新基準への理解を深め、業務プロセスを見直す絶好の機会となります。
変化を前向きにとらえ、ビジネスの透明性と効率性を高めていくことが、新時代を勝ち抜く企業に求められる姿勢といえるでしょう。規制対応のためだけではない、競争力強化につながるシステム投資を検討すべき時なのです。
まとめ
新収益認識基準は、売上高の認識を履行義務の充足時点に統一するものです。複数の履行義務を識別し、適切に収益認識するには、NetSuiteのような統合型クラウドERPシステムの導入が不可欠です。NetSuiteは新基準に対応し、タイムリーな会計処理と監査対応を実現します。加えて、ビジネス全体の可視化と効率化も促進し、経営管理の高度化に貢献します。
新収益認識基準への対応は、単なる規制対応ではなく、ビジネス変革のチャンスでもあります。NetSuiteを活用し、競争力強化につながるシステム投資を検討することが、新時代を勝ち抜くための鍵となるでしょう。