NetSuiteでは、ITやコンサルティング、広告業界といった、非定型のサービスを取り扱う業種に向けて、プロジェクト管理機能が提供されています。プロジェクトごとのリソースや採算を可視化することで、自社の生産性や収益性の向上と、リソースや進捗管理によるリスク軽減を行うことができます。
本記事では、NetSuiteでのプロジェクト管理の一連の流れについて概観した後、プロジェクト管理を経営戦略に活かすための方法を紹介します。
NetSuiteの全体像について知りたい方は、以下記事をチェックしてください。
NetSuiteのプロジェクト管理機能の特徴
NetSuiteにはプロジェクト管理に必要な機能を網羅しております。
- プロジェクトやタスクを定義し、管理できる。
- プロジェクトやタスクに対して、予算や期間などの予定を設定し、実際の情報を比較して、プロジェクトの進捗を確認できる。
- プロジェクトやタスクに対して、リソースを割り当てることができる。これにより、リソースの使用状況や予定と実績の比較が可能となる。
- プロジェクトやタスクに対して、ビジネスプロセスを設定できる。これにより、プロジェクトやタスクの進行状況を管理し、タスクが適切に完了されているかを確認できる。
プロジェクトにまつわるあらゆる情報を統合し可視化
NetSuiteは統合プラットフォームとして、プロジェクト管理にまつわる会計・顧客管理・人事・営業・マーケティングといったあらゆる情報を同じプラットフォームで管理しています。そのため、プロジェクトの管理画面から関連するあらゆるデータにアクセスすることができます。
従業員のリソース管理はプロジェクト管理において最重要課題の一つですが、NetSuiteを使用することで一覧化して把握することができます。
プロジェクトの営業から請求までをNetSuiteで完結し、属人性を解消
上記はITシステム会社がシステム開発を行う際の一連の流れになります。いずれのフローにおいても、NetSuite上で入力・管理を行うことができます。また、対応するロール(職種)とログインするユーザーを分けることで、従業員の不正防止といった内部統制を実装できます。
- 営業~受注:営業ロールの商談入力、プロジェクトマネージャーロールでプロジェクトの立ち上げ
- 開発~納品:プロジェクトマネージャーロールでリソース管理、従業員ロールで稼働時間や経費入力
- 売上請求:経理担当者ロールで経費承認や請求・売上計上
プロジェクト管理でよく取り上げられる課題の一つとして、「プロジェクトマネージャーによって管理が異なり属人化している」ことが挙げられます。これに対し、プロジェクトテンプレートを活用することで、プロジェクトの類型をテンプレート化し、システマティックにプロジェクト管理を行うことができます。
プロジェクトの日時は開始日起点(転送)または終了日起点(後方)から自動的に計算されるため、テンプレートからすぐに個々のプロジェクトを作成し、情報を管理することができます。
プロジェクトごとの収益や一人当たり採算を管理
NetSuiteは会計データと従業員の勤怠データを一括で管理することで、プロジェクトごとに売り上げ、経費、利益、時間当たり利益、ROIなどを算出することができます。
複数プロジェクトを並行して稼働している場合、経営層にとって重要となる業績指標を把握することで、進行中のプロジェクトの収益性改善や、過去のプロジェクトのデータから今後のプロジェクトへの改善に活かすことができます。
これらはSFAやCRM、MAといったツールでも、会計データのみ管理するツールでも確認することができません。統合的に管理できるNetSuiteだからこそ算出することができます。
プロジェクトの財務管理も、プロジェクトごとの比較からプロジェクト内のタスクごとの収支まで粒度を変更して確認することができます。
工事進行基準に基づく原価での進捗率算出にも対応
NetSuiteでは、工事進行基準に対応するために、予算に対する消化金額で算出される原価進捗率を用いた進捗の管理や、収益・償却の仕訳作成を行うことが可能です。ここで役に立つのが、「Project Cost-to-Cost Percent Complete SuiteApp」という拡張機能です。
SuiteAppとは、NetSuiteをカスタマイズして特定の業界やビジネスニーズに適した機能を提供する拡張機能です。
プロジェクトの収益を正確に把握するために、Project Cost-to-Cost Percent Complete SuiteAppを活用することができます。このSuiteAppは、コストベースのパーセントコンプリートの方法を使用してプロジェクトの収益を計算します。柔軟に予算と原価を定義し、それに基づいてプロジェクトの進捗率を算出することができます。
このSuiteAppを利用することで、予算と実績に基づいた進捗率を簡単に計算し、プロジェクトの進行状況を把握できます。
さらに、アドバンスト収益管理機能を活用することで、将来の期間における収益を必要に応じて繰り延べることができます。SuiteAppによって算出された進捗率を基に収益を計算し、設定したルールに基づいて適切な時期に収益を認識し、仕訳に反映させることができます。
これにより、プロジェクトの収益を正確に把握し、会計上の処理をスムーズに行うことができます。SuiteAppとアドバンスト収益管理機能を組み合わせることで、プロジェクトの管理や収益の最適化に貢献することができます。
NetSuiteをアメーバ経営・The PODsに活かす
営業からプロジェクト管理、人事、会計が統合されているNetSuiteは、稲森和夫の「アメーバ経営」や、Googleが採用する「The POD」などの経営手法と非常に相性が良いと言われています。
これらの経営手法は、目的に応じて異なる役割を持つ人が少数精鋭のチームを組成し、そのなかで各メンバーに裁量を持たせることで、スピードが速くなった現代のビジネスに対応し、変化に応じて参入と撤退を柔軟に繰り返すことが特徴として挙げられます。
少人数からなるアジャイル組織を複数組成し、その中で予算と収益、活動を把握するためには、従来の職種ごとに異なるツールを使用する体制では力不足です。SFAやMA、会計ツールでは、個々の仕事に応じた機能に特化していますが、職種を横断するチームを網羅的に管理することはできません。
また、近年ではクラウドERPの隆盛に合わせて、SFAツールや会計ツールが機能拡張を行うことであたかもERPのように使うことができる、と喧伝されていることが多いですが、機能的に見てみると元々のツールのプラスアルファに留まるケースが大半です。
SFA、人事、プロジェクト管理、会計が標準レベルで備わっているNetSuiteを活かすことで、現代の経営手法に合わせた形でデータの統合管理とチームの活動を万全にサポートすることができます。