基幹システムのセキュリティ性とは?必要な機能や対策について解説

近年、企業における情報漏洩が深刻化しており、社内のミスや不正アクセスが原因で、重要なデータが流出する事例が後を絶ちません。特に基幹システムは企業活動の根幹を担うものであり、そのセキュリティ性が脆弱だと、大規模な被害が発生するリスクが高まります。

本記事では、基幹システムのセキュリティ性について、必要な機能や効果的な対策を詳しく解説します。

目次

情報漏えいの現状

情報漏洩の事例は後を絶ちません。外部からのサイバー攻撃だけでなく、内部のミスや不正行為によって、企業の重要なデータが漏洩することが多発しています。特に、社内の人的ミスが原因で情報漏洩が発生することが非常に多く、次のような事例がよく見られます。

  • 営業担当者が顧客リストを誤って外部の相手に送信してしまう
  • データの取り扱いや管理方法に問題がある

アクセス権限の設定ミスや適切なセキュリティポリシーが存在しないといった場合に起きる傾向があります。

基幹システムのセキュリティ性

基幹システムは、企業の根幹を支えるシステムであり、財務情報や顧客データ、在庫管理、販売管理など、あらゆる業務データが集約されています。この基幹システムのセキュリティ性が低ければ、外部からの攻撃や内部の不正によって重要な情報が漏洩し、企業の存続に関わる事態を招く可能性があります。

基幹システムのセキュリティ性を高めるためには、システム自体にセキュリティ機能を組み込むことが必要です。次に、オンプレミス型とクラウド型に分けて、それぞれの特徴を見ていきましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型は、社内にサーバーを設置し、自社内でシステムを管理する方式です。この方式の最大のメリットは、企業自身がシステムの全てを制御できる点です。物理的なセキュリティ対策も講じることができるため、サーバールームに厳重なロックをかけたり、限られた人員だけがアクセスできるようにすることが可能です。

また、オンプレミス型では、システムのカスタマイズ性が高く、企業の業務に合わせたセキュリティ対策を柔軟に行えます。しかし、その一方で、最新のセキュリティ対策を常に適用するには、社内にITの専門知識を持った人材が必要です。システムの運用や保守にかかるコストや時間も大きく、企業規模によっては対応が難しい場合もあります。

クラウド型

クラウド型は、外部のクラウドサービスを利用して基幹システムを運用する方式です。この方式のメリットは、クラウド提供者が最新のセキュリティ対策を施し、常にシステムを監視している点です。企業自身でサーバーを管理する必要がなく、コスト面でも優れています。

特に中小企業にとっては、クラウド型の基幹システムを採用することで、運用管理の負担が軽減され、コスト削減効果も期待できます。ただし、クラウド型ではデータが外部に保管されるため、クラウド提供者のセキュリティポリシーや管理体制が信頼できるかどうかが重要なポイントとなります。

基幹システムのセキュリティ性を高める機能

基幹システムのセキュリティ性を高めるためには、さまざまな機能を効果的に組み合わせることが重要です。

パスワード管理機能

まず、基本となるのがパスワード管理機能です。この機能は、ユーザーが基幹システムにアクセスする際に設定されたパスワードを使用することで、不正なアクセスを防ぐ役割を果たします。パスワードの設定にあたっては、一定の文字数や記号を含むことを強制したり、定期的にパスワードを変更するよう促すことで、セキュリティの強化が可能です。また、パスワードを何度も誤って入力した場合にアカウントをロックする機能も追加することで、不正な試みを抑制できます。

多要素認証(MFA)

さらに、パスワードだけでなく、多要素認証(MFA)を導入することで、セキュリティをより強固にすることができます。多要素認証では、パスワードに加えて、スマートフォンに送られるワンタイムパスワードや指紋、顔認証といった生体認証を組み合わせて利用します。このように、複数の認証方法を使用することで、万が一パスワードが漏洩した場合でも、他の認証要素がなければシステムにアクセスできないため、セキュリティリスクを大幅に減少させることができます。

データの更新や修正履歴を管理する

基幹システムの運用においては、データの更新や修正履歴を管理することも重要です。履歴管理機能を導入することで、誰がいつどのデータを変更したかを追跡でき、万が一不正行為や操作ミスが発生した場合でも迅速に対応できます。これにより、システム内で行われた操作の透明性が高まり、不正行為の抑止力としても機能します。システム上での操作履歴を定期的に確認し、不審な動きがないかを監視することで、内部からの脅威に対しても万全の対策を講じることが可能です。

権限管理

次に、権限管理の導入もセキュリティを強化する上で不可欠な要素です。全社員が同じ情報にアクセスできるわけではなく、各社員が自分の業務に必要な情報にのみアクセスできるようにすることで、情報漏洩のリスクを軽減できます。例えば、営業部の社員が財務データにアクセスする必要がないようにアクセス権を制限し、各部署や役職に応じて適切な権限を設定します。さらに、定期的に権限の見直しを行い、不要なアクセス権限を削除することで、システム全体の安全性を保つことが可能です。

自動バックアップ機能

システムの安定した運用を維持するためには、自動バックアップ機能も重要です。データが破損したり、消失した場合でも、定期的にバックアップを取得しておくことで、迅速に復旧することができます。クラウドサービスを利用したバックアップを導入すれば、物理的な災害やハードウェアの障害が発生しても、外部のサーバーからデータを復元できるため、事業継続性を確保できます。バックアップの頻度や保存期間を適切に設定し、万が一に備えることで、データ損失のリスクを大幅に軽減することができます。

侵入検知システム(IDS)

また、システムへの不正アクセスを防ぐために、侵入検知システム(IDS)の導入も検討する価値があります。侵入検知システムは、外部からの不正なアクセスをリアルタイムで監視し、異常が発生した際には即座にアラートを発します。これにより、攻撃の兆候を早期に発見し、迅速に対策を講じることが可能です。不審な動きを見逃さないためにも、定期的にログを確認し、問題があれば直ちに対処する体制を整えることが重要です。

社内で行うべきセキュリティ対策

基幹システム自体のセキュリティ機能を強化するだけでなく、社内で実施するセキュリティ対策も不可欠です。ここでは、社内で講じるべき具体的なセキュリティ対策を解説します。

1.社員教育

情報漏洩の大半は、社内の人的ミスによって発生します。そのため、社員1人ひとりがセキュリティの重要性を理解し、正しい対策を取れるようにすることが重要です。特に、パスワードの管理やフィッシングメールへの対応、セキュリティポリシーの遵守についての教育を徹底しましょう。

定期的なセキュリティ研修を実施し、実際の情報漏洩事例を共有することで、社員にリスクを認識させます。例えば、パスワードを使い回さない、外部のUSBメモリを使わないといった基本的な対策を徹底させることで、情報漏洩のリスクを大幅に減少させることができます。

2.定期的なセキュリティポリシーの見直し

セキュリティポリシーは一度設定したら終わりではありません。業務環境の変化や新たな脅威に対応するため、定期的に見直し、更新することが重要です。特に、クラウドサービスの利用が増えている現代では、ポリシーが現状に合っているかどうかを確認する必要があります。

毎年、セキュリティポリシーのレビューを行い、最新の脅威に対応するための変更や追加を行います。例えば、リモートワークが増加した場合には、自宅からのアクセスに関するポリシーを追加し、セキュリティを強化しましょう。

3.セキュリティソフトの導入と更新

セキュリティソフトやファイアウォールは、企業の基幹システムを守る上で欠かせません。ウイルス対策ソフトは定期的に更新し、最新の脅威に対応できる状態を保つ必要があります。また、システム全体を定期的にチェックし、脆弱性がないかを確認することも重要です。

基幹システムを利用している全てのデバイスにウイルス対策ソフトを導入し、毎月自動的にソフトが更新されるように設定します。これにより、新たなウイルスやマルウェアに対する防御力を維持します。

4.アクセスログの監視

システムに誰が、いつ、どこからアクセスしたのかを記録するアクセスログの監視も、セキュリティ対策の一環です。異常なアクセスや不正な操作を検出した際に、すぐに対処できる体制を整えましょう。

基幹システムに毎日アクセスログをチェックし、異常な時間帯にログインがあった場合や、通常と異なるIPアドレスからのアクセスがあった場合にアラートを発する仕組みを導入します。これにより、不正なアクセスを早期に発見し、対処できます。

セキュリティ性が高い基幹システムに乗り換えるのも1つ

既存の基幹システムが古く、セキュリティ上の脆弱性が指摘されている場合、システム自体を最新のものに乗り換えることも重要な選択肢の1つです。特に、システムの運用にコストがかかりすぎていたり、セキュリティ機能が最新の脅威に対応しきれていないといった問題を抱えている企業では、よりセキュリティ性が高く、管理が容易なシステムに移行することで、大幅な改善が期待できます。

セキュリティ性の高いシステムには、最新の暗号化技術や多要素認証(MFA)など、現在のセキュリティ基準に対応した機能が標準搭載されているものが多く、これらを利用することで、情報漏洩のリスクを大幅に削減することができます。さらに、新しいシステムに移行することで、データ管理やバックアップの自動化、定期的なセキュリティアップデートが行えるようになり、継続的なセキュリティの強化が図れます。

また、クラウド型の基幹システムへの移行は、コスト削減と柔軟な運用が可能になるため、特にセキュリティ対策に時間やリソースを割きたい企業にとっては大きな利点です。

クラウド型では、専門のセキュリティチームが常にシステムを監視しており、セキュリティ対策の最新技術がすぐに反映されるため、自社での管理が難しい場合でも安心して利用できます。

基幹システムの乗り換えはベンチャーネットにご相談ください

基幹システムのセキュリティ性を高めたい、または新しいシステムに移行して業務効率を改善したいと考えている企業は、ぜひ「ベンチャーネット」にご相談ください。当社では、基幹システムの選定から導入、運用管理まで、トータルでサポートいたします。

また、既存システムの分析や改善提案も行っており、現在お使いのシステムがどれだけセキュリティに対して強固であるかを評価し、必要に応じて改善を提案します。新たなシステムへの移行に不安がある場合でも、丁寧なサポートと実績に基づいたアドバイスで、スムーズな移行を実現します。

基幹システムのセキュリティ強化をお考えの際は、ぜひ一度ベンチャーネットにお問い合わせください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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