今すべての企業で、働き方改革が求められています。日本の生産性は、他の先進諸国と比較するとかなり低いと言われており、かつては世界一であったGDPも3位まで転落。OECD加盟国内(36ヶ国)で、時間あたりの労働生産性において20位、1人あたりの労働生産性は21位、製造業の労働生産性では15位です。
なぜこのように生産性が落ちたのかについては諸説ありますが、考えなければならないのは「いかに生産性を改善していくか」でしょう。そして生産性の改善のために、今注目を集めているのがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)なのです。
この記事では、RPAがなぜ必要とされているのか、どんなことが実現できるのかなど、RPAのさまざまなテーマについて解説をします。
今注目のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは
RPAは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略語であり、日本語では「ロボットによる業務の自動化」と訳せます。
その名前の通り、さまざまな業務を自動化できることから、人手不足が深刻な事業者から注目を集めることに。RPAの導入については、銀行や行政など大規模な事業体での事例が報道されるため、中小企業では導入しづらい大がかりなシステムのように感じます。しかしまったくそんなことはなく、RPAの種類によってはPC1台から導入できるため、むしろ小規模な事業者ほど活用したいソリューションです。
RPAは働き方改革の救世主的存在
過去には人が手で行っていた工場での作業も、現在ではほとんどのプロセスが機械により自動化されました。これと同じことがホワイトカラー層でも起ころうとしており、RPAが救世主的な存在として注目を集めています。
これまではPC作業での自動化は、範囲が限られていました。
そのためPCを使って働くホワイトカラー層では、どんな作業であっても一定量以上の業務を手作業で行う必要があったのです。もちろん業務プログラムを作れば、ある程度の自動化は実現可能ではあるものの、ITベンダーへ依頼をすると莫大なコストを求められます。ですがRPAは、まるで人が動かしているように、PC操作そのものを自動化できるため、異なるソフトウェア間でも動作が可能。つまり企業の生産性を低下させている要因の一つである、生産性の低い業務をロボットへ丸投げすることができるのです。
RPAとAIの違い
RPAとAIは「自動」という意味から、混同されやすい傾向にあります。しかしRPAとAIは全く違うものであることに注意が必要。
RPAは人が作ったシナリオを忠実に守って動作します。逆に言うのなら、シナリオにない動作は一切実現できないということ。
AIはディープラーニングなどで膨大なデータを学習させることにより、自律的な判断を可能にするプログラムです。これまでは人でなければ判断できなかった有機的な事象でも、過去のデータから最適な解を導き出すためのツール。
このようにRPAとAIは全く違うものではありますが、将来的には2つが組み合わさったものになると考えられています。
将来的にAIを活用するならRPAを早期に導入する
将来的にはRPAとAIは融合し、RPAが苦手とする例外的な自己判断を克服するでしょう。ですがRPAとAIが融合した、すばらしいシステムが生まれたとしても、まず必要なのはデータなのです。AIはあくまでデータの大量学習による判断に限ります。つまり過去のデータが不足していると適切な判断は期待できないということ。
つまりあらかじめ、AIに必要とされる多量のデータを蓄積しておく必要があります。そのためにも早期からRPAを採用し、多量のデータをストックしておくことが、将来的にAIを採用する際の武器になるということです。
RPAとマクロの違い
AIのほかに、よくRPAと比較されるのがマクロでしょう。
RPAとマクロの違いは、かんたんに言い表すなら「異なるソフト間で動作するか」です。マクロとはマイクロソフト社が提供している、EXCELに実装されている自動化機能のこと。EXCELでの操作を記録することで 、ソフト内での操作を自動化できる機能です。操作の記録だけではなく、Visual Basicと呼ばれるプログラミング言語を使うと、より複雑な動作や同じマイクロソフトのソフト群を連携させた自動化も可能。自動化できるという観点で見ると似ていますが、マクロはあくまで限定されたソフトウェア内でしか機能しません。
たとえば自社の基幹システムなどとは連携できないため、手作業を介さなくてはなりませんでした。しかしRPAではこうしたソフト間の垣根は存在しないため、どのようなシステム間でも自動化できる可能性があるのです。
RPAを導入すべき企業とは
RPAを導入すべきか迷っている経営者、または現場の責任者の方は多いでしょう。事例を見れば、かならずと言っていいほど、取り沙汰されているのは大企業での華々しい導入ばかり。そのため自社へ導入することもついて、とても敷居が高いように感じている方はとても多いと聞きます。
ですがその心配はなく、どんな規模の事業者でも問題なく導入可能。ここではどのような企業がRPAを導入するべきか、かんたんではありますが解説をします。
単純業務の繰り返しが多い企業
PCを使った単純業務の繰り返しが多い企業であれば、RPAが活躍できる可能性が大いにあります。
- 経理の入力作業
- 単純な見積もり作業
- ウェブからの情報収集
- 基幹システムへの転記作業
- 特定条件でのメール発報
こうした重要度は低いももの、業務リソースを圧迫する大量の業務で悩んでいる企業には最適だと言えるでしょう。「ソフトウェア間の垣根がない」というRPAの特性は、今稼働しているあらゆるソフトウェアを自動化できる可能性を秘めているということ。繰り返し業務のミスなども減るため、こうした企業には掛け値なしでオススメできるシステムです。
リクルートに困っている企業
業務量が多いため、人を募集している企業は多いと思います。
しかしほどんどの企業で問題になっているのが、「募集しても人が集まらないこと」ですが、こうした悩みを持つ企業にもRPAは役立つでしょう。世帯の所得が低下していることから、労働者は多少給与が低くても、安定性を求めて大企業への就職を希望する傾向があります。そのため中小企業の多くでは、慢性的な人材不足に悩んでいるかと思いますが、だからこそRPAを活用したいところ。
貴重な従業員のリソースを単純作業に割かず、ロボットへ丸投げしてしまいましょう。つまり人の代わりに、ロボットを雇うと考えてもらうとわかりやすいのではないでしょうか。24時間ミスなく働き続けられるロボットは、使い方によっては非常に強力な武器となります。
さらに業績を伸ばしたい企業
さまざまなツールや手法を使い、売上を伸ばしている企業にも、RPAの導入をおすすめします。RPAを導入するということは、人がやらなくてもよい作業から解放されるということ。つまりより生産的な活動に、人的なリソースを注力できるため、人件費を増やさずに生産性を大幅に向上させられる可能性があります。
RPAが得意な業務
RPAには得意な業務と苦手な業務があります。RPAはとても有用な自動化ツールではありますが、すべてを自動化できる万能なものではありません。そのためRPAを活かすためには、RPAが得意とする業務に絞って自動化を進めることが大切。
逆説的には、RPAが得意とする業務の範囲内であれば、あらゆる業務を自動化できる可能性があるということです。すべてを自動化することが一番よい状態ではありませんが、人がやる必要のない業務はロボットへ任せていくのがこれからのあり方でしょう。人は減っていくのにも関わらず、すべて人がこなしていては、いくら効率化したところで限界があるのです。
マニュアル化できる業務
RPAが得意とする業務として「マニュアル化できる業務」が挙げられます。
RPAでの業務自動化は「シナリオ」と呼ばれる条件を作成することで進められますが、その際に重要なのがマニュアル化できるかどうかです。RPAは条件分岐など、はっきりとした条件があれば判断可能ですが、曖昧な判断は自律的に決定できないため、あらかじめシナリオを決定する必要があります。シナリオを作成するためには「条件Aの場合はC」「条件Bの場合はD」など、業務フローが明確でなければなりません。つまり条件が明確であり、マニュアル化されている業務であれば、すぐにでもRPAで自動化可能。
さらに今マニュアルがない業務でも、マニュアル化できるのであればRPAで自動化可能というわけです。こうしたマニュアル化できる業務は、RPAが最も得意とする業務だと言えます。
繰り返し業務
RPAは繰り返し業務がとても得意です。
マニュアル化と共通ではありますが、同一の作業を何度も繰り返す作業はRPAに任せた方が、正確で素早く処理できるでしょう。RPAはロボットのため、疲れを感じることもなく、どれだけ繰り返しが必要な作業でも処理し続けられます。
大量の業務
RPAは大量の業務を任せる場合にも向いています。
大量の業務を人がこなすとなれば、疲労や集中力の問題から必ずミスが出てくるものです。しかしRPAは24時間365日稼働し続けられ、しかもほとんどミスなく処理が可能。繰り返しかつ大量の作業は、むしろ人ではなくRPAの方が向いているとさえ言えるのではないでしょうか。重要度は高くないのにも関わらず、人的リソースを消費する業務は、できる限り自動化していくのが今後の理想です。
RPAが苦手なこと
反対にRPAが苦手な業務についても確認しておきましょう。AIが発展すると、RPAの苦手分野もある程度は克服されるはずですが、現時点では次のような作業は苦手とされています。
判断を伴う有機的な業務
RPAはあらかじめ決められたシナリオに沿った業務でなければ実行できません。
何度も繰り返してはいますが、判断を伴う有機的な業務は苦手です。決まった条件がなく、その時の判断で処理するような曖昧な作業の場合は、RPAで自動化はできないかもしれません。こうした曖昧な仕事は、これまで諸事情から不可侵な領域であるケースも多く、RPAを導入する機会に業務を見直す企業もかなり多いです。
フローが複雑な業務
あまりにもフローが複雑な業務もRPAは苦手としています。
マニュアル化さえできていれば、多少複雑な業務でも自動化は可能です。問題なのは、こうした複雑な業務の場合、フローに変更が生じた場合にシナリオの修正が非常に大変なことです。たとえばA箇所のフローに変更があった場合に、影響がF・G・Kと広くなる場合もあります。こうした業務の場合は、フローをいくつかの業務に分割し、モジュール化して組み合わせて管理することで自動化できるケースが多いです。
フローが頻繁に変わる業務
1ヶ月に1度など頻繁にフローが変わる業務などもRPAは苦手です。
フローが変わる度にシナリオの修正が必要となるため、管理コストが大きくなる恐れがあります。
フローの変更が頻繁な業務に関しては、フローの変わらない箇所と変わりやすい箇所で別々にモジュール化することで、対策できる可能性があるでしょう。こうした業務は無理に自動化せず、別の業務を自動化することにリソースを割いた方がコストパフォーマンスは高いかもしれません。
RPAを導入するメリット
RPAを導入するメリットは、かなり多くあります。企業によっても異なるとは思いますが、大きく分けると以下の4つがメリットとして挙げられるでしょう。
生産性の向上
RPAを導入することで、生産性を大幅に向上させられるでしょう。
単純かつ大量の繰り返し業務は、付加価値を生みにくい業務ではありますが、誰かがやらなければならないもの。そしてこうした業務を淡々とミスなく、高速で処理できる人は、それだけ優秀ということでもあります。優秀なスタッフをこうした単純業務に縛り付けることは、企業としても大きな損失につながると言えるのではないでしょうか。
優秀な人ほど、より付加価値を生む、生産性の高い仕事に注力してもらうべきです。こうした作業はロボットへ任せて、人でなければならない思考を伴う高度な業務へリソースを割ける体制にしたいものですよね。
圧倒的なミスの低下
大量かつ単純業務の繰り返しは、どれだけ優秀な人に作業させても、疲労や集中力の低下で一定確率でミスが生じます。これは人が作業する以上どうしようもないことでしょう。また大量業務の場合、チェックでミスを探し出すのもの一苦労という場合もあるでしょう。
しかしRPAは疲労もストレスも感じることなく、高速かつ正確に業務を処理でき、シナリオや元データにエラーがない限り、ミスを起こすこともまずありません。
つまり業務品質が向上するだけでなく、ミスを探し出す手間もなくなるということです。あまり目立つメリットではありませんが、RPAを導入する非常に有用なメリットだと言えるでしょう。
コスト削減
これまでは、単純な業務も含めて、すべてを人が処理する必要があったため、増える業務に対応するためには人の採用が必須でした。
しかし業務の一部をRPAへ移譲することで、新しい人を増やさずとも今と同じか、それ以上の生産性を発揮します。
つまり業務が増える度に増えていた、人的なコストの削減にも効果的ということ。もちろんRPAにも導入と利用に費用は発生しますが、人を採用するよりもずっと安価に運用できます。
ノンプログラマーでもOK
一般的な業務プログラムの場合、業務を自動化したり仕様を変更する場合は、プログラマーに頼らざるを得ませんでした。その度に密な打合せが必要なだけでなく、もちろん費用もかかるのが通常です。そのため業務システムを導入したくてもできない、という企業は少なくなかったはず。
しかしRPAの場合は、ノンプログラマーでもまったく問題なくシナリオ作成・編集できます。
つまり現場の担当者レベルでシナリオ作成ができるということですから、内製化して運用することは十分に可能。これまで自分たちで行っていた業務を、ロボットに任せ、担当者は監督する仕事になるとイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
RPAを導入するデメリット
RPAを導入すると、多くのメリットもありますが、じつは一部はデメリットもあるのです。ここではかんたんにRPAを導入する場合のデメリットについて解説しておきます。
導入時・運用時のコスト
RPAは導入時と毎月の運用に費用が発生します。
費用は採用するRPAベンダーによってまちまちですが、デスクトップ型とサーバー型など、規模や目的によって全く異なるもの。自社の規模に合わせたものを選ぶべきであり、できることならデスクトップ型の小さな範囲からスタートするのが理想です。PC1台から利用でき、導入コスト・運用コスト共に安価に抑えられますから、RPAの強力な効果を実感したうえで徐々に対象を広げていくとよいでしょう。少なくとも特定の作業のために、人を新たに雇用するよりもずっと安価です。
業務のブラックボックス化
RPAで自動化を進めていく中で、ある程度は避けられないのが「業務のブラックボックス化」です。
RPAを導入した段階では、各業務の担当者が自分たちでシナリオを作成していくことなりますが、問題はしばらく時間が経過してから。時間が経つと、誰が作ったかわからないシナリオや、担当者が退職してしまってもともとの業務内容が分からないといった問題が発生します。こうなると自動化する前に、人が行っていた業務フローが分からなくなり、誰も対応できないというケースが起こるのです。
こうした問題を防止するためには、RPAでシナリオを作成する前に、どのようなルールで動作しているのかをマニュアル化するのがベスト。マニュアルとシナリオはセットで管理し、修正があればどちらも更新する、という方法を取ることでブラックボックス化は防げます。
野良ロボットの発生
RPAで自動化を進めていくと、誰が何の目的で作ったか、またどこにデータがあるのかが分からない「野良ロボット(シナリオ)」が発生する問題があります。
野良ロボットは、作られたシナリオに沿って延々と処理を続けることを繰り返し、時には運用に負の影響を与えることもあるでしょう。特定の場所へメールを送り続けたり、データを勝手に書き換えるなどの問題を起こすこともあります。こうした野良ロボットを発生させないためには、シナリオ作成時に動かしている場所やマニュアルなどを含め、管理簿でしっかりと管理することです。
RPAでの自動化の利便性を理解し、進んでロボットを作成することはとてもいいことだと言えます。しかし無作為になんでもかんでも、ルールなくロボット化を進めていると発生してしまうため、適切な管理ルールを定めておくことが必要でしょう。
RPAを導入する手順・方法
RPAを導入するまでに、どのような手順を踏むのかを知りたい方は多いでしょう。ここではRPAを導入するまでに、どのようなステップが必要なのかをご紹介します。もちろん採用するRPAのベンダーによっても全く変わるものですが、ある程度のイメージをつかめるのではないでしょうか。RPA選びで失敗しないコツは、しっかりと情報収集を行い、自社に合ったRPAを選択し、実際に見てみることです。
情報収集
まずは何よりも情報収集をしっかりとすることです。RPAはたくさんのベンダーがリリースしており、できることとできないこと、タイプや機能、価格まで千差万別。同じPCと操作の自動化ではあるものの、製品特性がまったく異なるものが多くあります。
そのためまずは自社の規模に対して適切かどうか、費用対効果を考えた場合にちょうど良いかを見極めてください。ここで3〜5社程度までに候補を絞り込むとよいでしょう。検討する候補は少なすぎても多すぎても、比較しづらくなります。
比較検討
ある程度の候補の絞り込みが終わったら、各ベンダーの製品を比較しましょう。自社が求めている業務の自動化を実現できそうなのはどのベンダーか。デスクトップ型か、それともサーバー型にするか。
自社で考えている導入規模で考えた場合に、コストパフォーマンスが高いのはどのベンダーか。このようなさまざまな観点から、各社のRPA製品を比較検討してみてください。
一概にどの製品がよいとは断言できませんが、これからスタートするなら小規模からスタートでき、徐々に利用範囲を広げられるWinActorがおすすめです。
非常に珍しい純国産のRPAであり、大企業の膨大な業務自動化から、中小企業のPC1台分の業務自動化まで、多くの実績があります。日本での利用を第一に考えられたRPAですから、操作性やサポートも含めて最もおすすめできるRPAです。
取扱店へ連絡
RPAの比較検討がある程度終わったら、実際に取扱店へ連絡します。なぜならデモや見積もり、ネットの情報だけでは収集できなかった詳細な情報までを確認しなければならないためです。取扱店に見積もりを出してもらう費用と、ウェブ上で確認できる費用とは大きく異なる場合があるため、しっかりと確認しておく必要があります。
デモ・ハンズオン
採用に有力なRPA製品があれば、取扱店に依頼をしてデモとハンズオンを実施しましょう。ウェブサイトだけで得られる情報だけでは不十分で、実際に見るのとはインパクトが異なるでしょう。担当者に自社の運用イメージを伝え、実現できることやできないことをしっかり聞くことはとても大切。
また実際に目の前で動作しているデモを確認し、設定画面などを見ると、導入後のイメージもしやすいはずです。可能ならデモ版を、数日だけでも使わせてもらえるかを確認してみてください。手にとって触るとさらにイメージが深まるでしょう。
導入計画
導入するRPA製品が決まったら、契約を行い導入計画を立てます。依頼をする取扱店の担当者と綿密な打合せを行い、導入までのスケジュールやタスクを明確にしてください。デスクトップ型のRPAであれば、そこまで大規模な納入ではありませんが、それでもいかにスムーズなスタートを切れるかが大切。
サーバー型であれば、それなりに大規模な納入となるため、失敗をしないためにも慎重に打合せを重ねるようにしてください。RPA化に関するルールづくりや、自動化する業務のマニュアル化なども、徐々に進めておくことをおすすめします。
本導入
あとは計画に従って導入をします。デスクトップ型であれば、思っている以上にすんなりと導入も完了するでしょう。サーバー型の場合は、納入作業が数日に及ぶ場合もあります。納入時に使い方などについても、しっかりとトレーニングを受けるようにしてください。
運用開始
導入が終われば、あとは日常的な運用の開始です。まずは一つの業務を自動化させることからはじめ、問題があれば修正を重ねて成功させましょう。一つの業務の自動化が成功させられたら、また次の業務の自動化へ着手します。こうした小さな成功を積み重ねて、RPA化を社内で拡大させましょう。
最も失敗につながるのが、最初から大きな業務を自動化しようとすること。大きな業務は、小さな業務の自動化でノウハウを積み重ねたうえで着手するのが理想です。
RPAの導入と運用の注意点・ポイント
RPAの導入と運用について、注意点とポイントがあります。RPAは、ノンプログラマーでも自在にシナリオを組める、手軽さや使いやすさが最大の特徴。しかし導入や運用がアバウトでよいわけではありません。あくまで業務システムですから、適切な選定や運用の方法に気をつける必要があります。
RPA化すべき業務を見定める
注意点の一つが、RPA化をするべき業務をしっかりと見定めることが大切。
実際のところ、ほとんどの業務は細分化することで、RPA化することは十分可能です。ですがどの業務も自動化すればよいかといえば、決してそうではありません。そのためどの業務を自動化して、どの業務は残すのかを社内でしっかりと話し合って決めるべきです。
そもそもRPAの導入は、ほとんどの場合に社内のある一定の勢力からは反対されます。なぜなら「自分たちの仕事をRPAに取られる」と考えているからです。こうした誤解を取り除き、全員が一丸となってRPAの導入を成功させなければなりません。そのためRPAが必要な理由の説明、そして業務の切り分けについてとことん話し合う必要があるのです。
それでも一定の層は、最後まで反対し、導入後も拒否する姿勢を取るかもしれません。ですが別の業務でRPAの導入が成功し、現場の社員たちが喜んでいる姿と実際に動いているRPAを見ると雰囲気は代わります。「自分たちの業務をサポートするもの」と理解すると、途端に協力的になるケースもあるのです。そうなればRPAの成功はぐっと近づくでしょう。
業務のブラックボックス化を防ぐ
非常に難しいことですが、業務のブラックボックス化を防ぐことも非常に大切です。
先ほども説明をしましたが、RPA化のルールや管理を決めないままスタートすると、必ず業務のブラックボックス化が始まります。たしかにRPAは面倒な作業を自動化してくれるため、非常に便利なツールだと言えるでしょう。
しかしその便利さに甘えているときに、不具合やPC・サーバーの故障でRPAが動作しなくなったらどうなるでしょう。このトラブル時に人が運用する時のマニュアルがなければ、あっという間に現場で大混乱が生じてしまいます。ひどい場合は、かつての業務フローが分からず、誰も業務がこなせないといった問題も起こりかねません。ブラックボックス化を防ぐためにも、必ずマニュアル化や運用ルールの制定、管理を徹底するようにしてください。
【まとめ】今こそRPAを活用して業務の効率化を
ご紹介の通りRPAは業務の自動化のために非常に有益なソリューションです。すでに大企業では、生産性の向上や人材不足の解消の手段として、いくつも導入の成功事例を上げています。しかし「業務の自動化」など、少ないリソースを最大限に活かせるRPAは、本来は中小企業でこそ活かすべきソリューションだと言えるでしょう。
これまでRPAの名称だけを聞いたことのある経営者様・担当者様は、この機会にぜひ導入を検討してみてください。今からの導入は決して早すぎることなどありません。むしろ安定して利用できるようになった今こそ、RPAを導入して成功させるチャンスです。