RPA技術者検定エキスパートの笹谷です
RPAを導入・運用していくにあたって、よくある課題の一つに「野良ロボット」問題があります。
導入・運用前にきちんと運用体制を整備してあればこの問題は生じにくいですが、小さく始めていくことが多いRPAプロジェクトにおいて、運用・管理体制が整っているケースは多くありません。
今回は、「野良ロボット」問題の概要と起こしうる結果、対策について紹介します。
そもそも野良ロボットとは
野良ロボットとは、以下のようなロボットを指します。
- 管理者がロボットの存在を把握していないロボット
- 前任者からの引継ぎがされておらず、どのような挙動をしているのか不明なロボット
- 定期的なメンテナンスがなされておらず、アップデートされていないロボット
RPAを導入・運用していくと、さまざまな業務内容を自動化するため、それぞれに合ったロボットを作成します。
運用初期段階であれば問題ないのですが、運用期間が長引いたり、担当者が交代したり、運用を拡大していると、「どのようなロボットが現在動いているのか誰も把握していない」という状況が起こりえます。
野良ロボットとは、そのような管理されていないロボットのことを指します。
野良ロボットが引き起こす問題
野良ロボット問題が発生、放置した場合、以下のリスクが生じます。
- 社員・顧客の情報漏えい
- 内部監査の対象漏れ
- セキュリティリスク
- データの誤記載・誤消去
もちろん、ロボットにどのような役割を担わせているかによってリスクの度合いは変わってきます。
例えばロボットの存在に気づかないまま業務フローなどを変更してしまった場合、ロボットは以前の業務フローに従って動作を行いますので、予期せぬエラーが生じる可能性が非常に高いです。
野良ロボットを防ぐために
野良ロボットを防ぐためには、野良ロボットが生じうるケースを想定し、一つ一つ対策していくことが大事です。
野良ロボットが生じるケースとしては、下の2つが代表的です。
- 担当者の異動、退職などによる交代
- 運用拡大に伴うライセンス展開
それぞれのケースと対策について見ていきましょう。
1.担当者の異動、退職などによる交代
RPA担当者の引継ぎミスによって野良ロボットが生じるのはよくある話です。
ちゃんと引継ぎが行われれば問題ありませんが、急な交代の場合で引き継ぎが行われなかったりした場合、新しい担当者がすべてのロボットを把握するのは困難な可能性があります。
そのような事態を避けるためにも、ロボットの運用の際は「現在どのようなロボットが稼働しているか」「ロボットの所在や動作に関わるものは何か」といった内容を普段からまとめておくのがよいでしょう。
エクセルファイルに上記の内容を記すだけでも構いません。とにかく、文章として残しておくことが肝心です。
特にRPA担当者が一人の中小企業の場合、現在使用しているロボットの管理表が存在せず、担当者の頭の中にしかないというケースも少なくありません。
運用する段階でロボットの管理表を作成し、記録として残しておく
2.運用拡大に伴うライセンス展開
RPAの運用を拡大していくにあたって、他業務や他部署で新たにRPAロボットの作成・運用をしていく際に、これまでの管理体制では追い付かなくなるケースもあります。
そういった場合にお勧めするのは、ライセンスを導入済みの実機の環境、あるいは仮想環境を用意する方法です。
RPAを運用する環境をコントロールすることで、現在動作しているロボットを管理することが可能です。
また、規模が拡大していき、ライセンス数が数十~数百になる場合は、ロボットを一元管理できるソフトウェアやサービスの導入を検討してください。WinActorであれば「WinDirector」、UiPathであれば「UiPath Orchestrator」といったソフトやサービスが提供されており、中央で集中管理が可能です。
RPAの運用環境を管理するか、ロボットを一元管理できるソフトやサービスを導入する
WinActorの運用サポートは弊社にお任せください
RPAを運用していくにあたって、野良ロボットの問題は運用体制を整えることが対策として有効です。
ただ、社内で必要なリソースを賄うことが難しい場合は、外部のリソース活用をお勧めしております。
弊社では、WinActorの運用を支援するサービスを提供しております。詳しくは下記よりご確認ください。