RPA×OCR連携で考えるべきポイント3選

RPAエキスパート 笹谷

RPAエキスパートの笹谷です

RPAとAI-OCRのサービスを組み合わせて、「注文書や請求書の読み取り~システム入力」を自動化する活用方法は、RPAを導入する企業でよく使われています。

注文書や請求書の入力といったバックオフィス業務は定型的かつ反復作業であり、業務プロセスの変更も頻繁に起きないことから、RPAが得意な業務として考えることができます。

しかしながら、いくつか考慮すべきポイントも存在します。このポイントを見落としてしまうと、「他社事例も多いしよく紹介されているから導入できるだろう」と思ってRPAとAI-OCRを導入したはいいものの、運用までのシナリオ構築に時間がかかったり、思いのほか読み取りがうまくいかず失敗してしまうことになりかねません。

この記事では、RPAとAI-OCRの組み合わせを考えるときに、外すことができないポイントについて、実際に導入・運用を行ってきた経験から紹介します。

目次

ポイント① 読み取り対象はどの程度の手書きか

近年のAI-OCRは技術の進歩が目まぐるしく、PCで入力されたものならほぼ100%、手書き文字であっても高精度で読み取ることが可能です。5年前なら手書き文字の読み取り精度があまり高くなく、実運用に足らないと判断している場合でも、現在の進歩した技術であれば十分実運用可能なレベルで読み取り精度が向上しています。

私も数年前、AI-OCRのテストをしたときは、正直手書きの読み取りがイマイチでまだまだお客様に紹介することはできないな、という状況でした。しかしながら近頃にテストしてみたところ、ほぼ100%の精度で読み取っており、「こんなに読み取ってくれるのか!」と感動したのを覚えています。

とはいえ、「100%完璧に読み取れます!」と言い切ることはまだちょっとできません。手書き文字はピンキリであり、人の目から見ても何が書いてあるのかちょっと考えるような文字は、AI-OCRでも苦戦します。(さすがに仕方ないですよね)

その場合、読み取った後の人のチェックが入ることになりますので、その分人の工数が増えてきます。

また、手書き文字の場合は、読み取りフォーマットの範囲を超えてくる可能性についても考える必要があります。フォーマットについては後述しますが、読み取り範囲外の部分に手書きの文字があっても読み取らないので、読み取りたい内容なんだけれど同じ場所に書かれていない、というような場合は設定などが複雑になってきます。

手書きの文章のやり取りが多い場合は、事前に読み取り精度などをテストすることをお勧めします

ポイント② 読み取り対象のフォーマットはどれくらいあるか

AI-OCRで文章を読み取る場合、見本となる画像や書類をアップロードし、どの箇所を読み取りを行うかを事前に設定します。

最近ではフォーマットを設定しなくても自動で読み取り・内容を判断してCSVにエクスポートするサービスや機能も登場してきておりますが、精度の面でやや難があるのと、読み取り不要箇所も読み取ってしまうため料金が高くなりがちなことから、まだまだ発展途上な側面は否めません。

そのため、1度フォーマットを設定する必要があるのですが、読み取りたいフォーマットがどれくらいあるかによって、実運用までの時間が変わってきます。また、数ページにわたる書類で、2ページ以降のフォーマットが異なる場合は、フォーマットを別々に用意する必要が出てきます。(以下の記事は、数ページのPDFを分割して、それぞれのフォーマットを適用するために書いた記事です)

読み取りたいフォーマットがあまりにも多い場合は、一旦量が多いものからフォーマット化を進めていくのをお勧めします。

ポイント③ 読み取り後の加工~入力はどれくらい必要か

AI-OCRで読み取った後は何らかのツールやシステムに入力する場合がほとんどです。その場合、読み取った後のCSVをどれくらい加工するかによって、加工の業務をRPAが行うかどうかが決まります。

DX-Suiteの場合、読み取ったデータの加工がサービス上で行えるため、簡単なフォーマットであればRPAを使うことなく必要なCSVを準備することができます。一方、CSVフォーマットが複雑な場合は、読み取った後のCSVデータをRPAで加工する必要があります。

エクスポートされたCSVを別システムにインポートするだけの場合は、RPAのシナリオもシンプルなものになりますので、運用までの時間はそこまでかからないでしょう。

インポートに必要なフォーマットやインポートのプロセスによってRPAのシナリオが変わってくる

RPA×AI-OCRは自動化の第1歩に最適

ここまでいくつかのポイントを紹介してきましたが、それでもなお、RPA×AI-OCRはRPAを導入・運用する企業がまず取り組むことができるおすすめの業務自動化の方法です。

さまざまな業務を自動化するにあたって、プロセスや内容によってシナリオの難易度が大きく変わってきます。「これくらいの業務であれば1か月で自動化できるだろう」と計画を立ててみたものの、蓋を開けてみたら予想以上に業務内容のシナリオ化が難しいケースはよくあります。さらに難しいのは、導入したての企業だと業務内容と自動化に必要なプロセスや時間がなかなか予測できない点です。

上記の問題や落とし穴を避けるためにも、定型的で取り組みやすく、しかも成果が目に見えやすい「注文書や請求書の読み取り~システム入力」の自動化をまず行います。シナリオ開発と運用のイメージをつかんだ後に、それぞれの自社業務の自動化に取り組むのがおすすめです。

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