BtoBの製品・サービスをコンテンツマーケティングで集客したい場合は、BtoB向けのSEO対策を実施する必要があります。Webコンテンツ作成は、成功すれば大きな効果が期待できる一方で、失敗すると全く効果が現れないという勝ち負けの差が大きい施策です。そこで今回は、BtoB企業が実施すべきSEO対策と基本ステップ、成功のポイントなどについて詳しくご紹介します。
BtoBのSEO対策とは
BtoBのSEO対策とは、BtoB向けの製品・サービスの認知度アップや購入などを最終目標として、Google検索した際に自社のWebコンテンツを上位表示させるための施策のことです。SEO対策が全く施されていない場合、ユーザーがキーワードで検索しても自社のコンテンツが表示されず、自社製品・サービスの存在を伝えられません。
的確なSEO対策を実施することでコンテンツを上位表示できれば、キーワードによりますが不特定多数の人の目に自社製品・サービスの存在を伝えられます。例えば、「営業 疲れた」というキーワードで上位表示した場合、そのコンテンツを閲覧したユーザーに自社製品・サービスを紹介できます。この場合は、営業支援ツールがマッチするでしょう。
このように、自社製品・サービスにニーズがある人物はどのようなキーワードで検索するのかを考えて、検索ニーズを満たすコンテンツを作成することが重要です。
BtoCのSEO対策との違い
BtoCのSEO対策は、BtoC向けの製品・サービスの認知度アップや購入などを最終目標として、Google検索した際に自社のWebコンテンツを上位表示させるための施策のことです。BtoBとBtoCではターゲットが異なるため、行うべきSEO対策にも違いがあります。例えば、BtoBは少数でもアクセスがあればコンバージョンに繋がる可能性が高いでしょう。これは、企業の悩みがすでに明確化されているためです。
一方、BtoCは認知→比較検討→購入の各プロセスの内容が濃く、購入に至るまでにさまざまな壁を乗り越える必要があります。
BtoBのSEO対策で検索上位化する方法
では、コンテンツを上位表示させるには、どのようなSEO対策が必要なのでしょうか。まずは、Googleの検索アルゴリズムの仕組みを知る必要があります。これまで複数回のアップデートを重ね、検索ユーザーの検索意図を理解して作成した関連性の高いコンテンツが上位表示されるようになりました。
また、ページの見やすさや表示速度、閲覧中にストレスを受ける現象が起きないかなども評価基準です。つまり、コンテンツを上位表示させるには、ユーザーの検索意図を理解し、求めている情報を得られるコンテンツを作成する必要があります。
そのうえで、オリジナル画像や図の挿入、ページの見やすさや表示速度の向上、モバイルからの閲覧への最適化などの施策を実施します。
BtoB企業のSEO対策における優位性
BtoB企業は、SEO対策を実施することで比較的容易に上位表示できる可能性があります。もちろん、競合が多いジャンルでは、上位表示は簡単なことではありません。着実にSEO対策を続け、最新の情報を元に改修を繰り返せば、いつか重要なコンテンツを上位表示できるようになるでしょう。
BtoB企業のSEO対策における優位性について詳しくご紹介します。
個人サイトと比べて上位表示されやすい
BtoB企業が運営するメディアやホームページなどは、個人サイトと比べて上位表示されやすい傾向にあります。これは、個人サイトよりもE-A-Tが充実したコンテンツを作成できるためです。E-A-Tは、Googleがコンテンツの品質を評価する際に用いる指標で、次の3つで成り立ちます。
Expertise(専門性):Webサイトやコンテンツを専門家が作成しているか
Authoritativeness(権威性):特定のジャンルで多くの人から高い評価を得ているか
Trustworthiness(信頼性):信頼できる運営者か、コンテンツの内容は信頼できるか
BtoB企業は、個人と比べて信頼性が高いと見なされるため、個人サイトよりも上位表示されやすい傾向にあります。
専門家の執筆・監修記事を投稿しやすい
BtoB企業は、そのジャンルの専門家が多数在籍している場合があります。例えば、営業関連のコンテンツを作成する場合、営業担当者が作成し、顔写真と本名を執筆者・監修者として登録すると、コンテンツの評価が高まります。
個人だと、専門家の執筆・監修の記事を投稿することが難しいため、Expertise(専門性)においても優位に立てるでしょう。監修者を手配する場合、当然ながら報酬の支払いが発生します。少数のコンテンツに監修をつけるだけであれば大きなコストはかかりませんが、数百もの記事すべてに監修をつけると、数百万円ものコストがかかる可能性があります。
そのため、なるべく自社内で監修者を用意した方がよいでしょう。
予算をかけてコンテンツを充実化しやすい
BtoB企業は、個人と比べて多くの資金をコンテンツ作成に投入できる傾向があります。予算をかければ、それだけ充実したコンテンツを作成できます。例えば、文章作成はプロのライターに依頼し、社内の専門家が監修する、デザイナーにオリジナル画像や図の作成を依頼するといった方法があります。
BtoB企業のSEO対策を成功させるポイント
BtoB企業のSEO対策を成功させるには、次のポイントを押さえる必要があります。
量よりも質で勝負する
十分な予算を出せるBtoB企業の中には、たくさん記事を投稿して数で勝負しようと考える企業が少なくありません。しかし、記事の投稿数はSEO対策に大きな影響を与えないため、1,000記事投稿しても見込み顧客の獲得や製品・サービスの購入に至るケースがゼロの可能性もあります。
量よりも質で勝負することを前提として、コンテンツを作成しましょう。BtoB企業が狙うキーワードは検索ボリュームが少ない傾向にありますが、これは対象となる顧客数が少ないためです。一般的に、1,000~10,000程度が検索ボリュームなので、このあたりのキーワードをピックアップしましょう。
カスタマージャーニーを意識したコンテンツを作成する
カスタマージャーニーとは、ユーザーが商品やサービスの存在を知り、情報収集、比較検討、購入、利用までの感情変容を旅に例えた考え方です。どのような課題、潜在ニーズを持ち、その結果どのようなキーワードで検索するのかを考えることで、商品・サービスの購入や問い合わせに至るコンテンツを作成できます。
比較検討や購入に直結するキーワードで上位表示できれば、より多くのコンバージョンに繋がるでしょう。ただし、競合が非常に多く、他社も多額のコストを投入するため、上位表示させるのには苦労します。最初は、情報収集のフェーズの潜在顧客に対してアプローチできるキーワードでコンテンツを作成しましょう。そのコンテンツに内部リンクを貼って、比較検討や購入のフェーズへ移行させることも重要です。
また、購入後の顧客の離脱を防ぐために、よくある質問や基礎知識、使い方のコツなどのコンテンツも作成しましょう。新規顧客の獲得にばかり意識を取られると、売上がなかなか安定しません。長く商品・サービスを利用してくれる顧客を育てつつ、質の良い新規顧客の獲得を目指してみてください。
専門家が執筆・監修する
前述したように、専門家の執筆・監修には高いSEO効果が期待できます。社内の専門家に執筆か監修を任せましょう。執筆力に難がある場合は、プロのライターに外注するのがおすすめです。SEOへの知見はもちろん、そのジャンルに精通しているかどうかも重要です。
専門家の探し方は次のとおりです。
- 「資格名×監修者」でGoogle検索する
- 監修者を探せるプラットフォームを利用する
- SEO会社に依頼した際に監修者の手配も任せる
いずれの場合も、監修者の監修経験や権威性、社会的信頼性について十分に確認が必要です。
例えば、士業の監修者の中には、過去に行政処分を受けている人物がいる可能性があります。そのような人物を監修者に据えると、そのコンテンツが世間からの信頼を失うかもしれません。
SEO会社に監修者の手配も任せれば、そのあたりも踏まえて選定してくれるため、手間やリスクを大幅に軽減できます。
定期的にリライトする
コンテンツが上位表示されたかどうかに関係なく、定期的にリライトすることが望ましいです。長期間、更新されていないコンテンツはGoogleの検索アルゴリズムにおいては評価が低くなります。また、古い情報を掲載しているコンテンツも同様です。例えば、2020年の情報を2021年になっても掲載し続けている場合、内容の信頼性が低下します。
この場合、2021年の時点で最新情報を掲載している他のコンテンツが上位表示されるでしょう。年度によって変化する情報はなるべく掲載しない方がリライトの負担は軽くなるかもしれません。しかし、公的データやアンケート調査などのデータはSEO効果が高いため、積極的に使用した方がよいでしょう。
BtoB企業のSEO対策の基本ステップ
BtoB企業は、次の基本ステップを押さえてSEO対策を実施しましょう。
1.ターゲットの設定
ターゲットの設定を誤ると、全ての施策が効果を発揮できなくなります。商品・サービスの機能やメリットなどからターゲットを正しく設定しましょう。開発の段階でターゲットを設定しているはずなので、そのままSEO対策に使用してください。このとき、ペルソナを設定するとターゲットをより適切に見極められるでしょう。
ペルソナとは、ターゲットを掘り下げて設定する1人の顧客像のことです。例えば、ターゲットが「30代男性ビジネスマン」であれば、ペルソナは「35歳男性、IT企業の課長。3人家族。年収600万円。よく使うSNSはTwitter……」など具体的に設定します。
解決したい悩み、解決後の理想像なども明確にすれば、どのようなコンテンツが刺さるのかが見えてくるでしょう。
2.段階別に見込み顧客が求める情報を明確化する
カスタマージャーニーを意識して、段階別に見込み顧客が求める情報を明確化しましょう。その情報を掲載したコンテンツを作成することで、商品・サービスの購入に繋がります。
3.キーワードを選定する
全ての段階の見込み顧客に対してアプローチできるように、段階別にキーワードを設定しましょう。例えば、ツールの導入を検討している人物は、ツールの基本情報や+αのお役立ち情報を求めています。また、検討段階の中でも購入に前向きな姿勢を持っている状況では、ツールの応用方法の情報を求めているでしょう。
このように、ターゲットの段階別にキーワードを設定することで、エンゲージメントを高めて受注率が上がることが期待できます。
4.キーワードに沿ったコンテンツを作成する
商品・サービスの新規顧客の獲得が急がれる場合は、商品・サービスの認知拡大を目的としたキーワードのコンテンツを優先的に作成しましょう。コンテンツ施策の効果はすぐには現れないため、後回しにすると新規顧客の獲得に予想以上に時間がかかる恐れがあります。
月10本の作成を目標として、5本は認知拡大、3本は情報収集、2本は比較検討など、優先順位に応じて投稿数を決めましょう。もちろん、より多くの予算を投入できるのであれば、月30本や50本などを投稿しても問題ありません。ただし、投稿後に放置するとサイト評価が低下する恐れがあるため、早々にネタ切れにならないように長期的に投稿することがポイントです。
5.定期的なリライト・内部施策
定期的なリライトで情報の鮮度を保ちましょう。また、アクセス数が多いのにコンバージョンに至らない場合は導線を見直す、上位表示されているのにクリック率が低い場合はタイトルとディスクリプションを見直すなど、より多くの利益を得るためにコンテンツを改変することも重要です。
そのほか、他のコンテンツへの内部リンクを貼る、当時は忙しくて対応できなかったオリジナル画像や図を作成するといった内部施策も行いましょう。
事例を紹介する
BtoB向けの製品・サービスの購入を迷う理由はさまざまですが、中でも大きいのが「本当に効果があるのか」「自社に適しているか」です。効果や自社との適性などを証明するために、導入事例を紹介しましょう。ターゲットと似た状況の企業の導入事例を記事に掲載することで、購入や問い合わせの意欲を高めることができます。
BtoBのSEO対策に失敗する原因
BtoB企業がSEO対策を実施した結果、十分な成果が得られないまま予算が尽きてしまったというケースは少なくありません。BtoB企業がSEO対策で失敗するよくある理由を確認しておきましょう。
文体やテイストがBtoBに合っていない
BtoCとBtoB、さらにはターゲットの年齢層や性別などでも最適な文体やテイストが異なります。BtoBでは、硬めの文章でありながら親しみやすい文章が求められます。これを10代の若者向けのような文体で書くと、ミスマッチな印象を与えてしまうでしょう。
最新の知識に基づいた対策ができていない
最新のSEO対策の知識に基づいて対策ができていない場合、十分な効果を得られません。そればかりか、検索パフォーマンスが低下してしまう恐れもあります。例えば、以前はコンテンツへの被リンクを人為的に増やすことでサイトパフォーマンスが向上する場合がありました。
現在は、人為的な被リンクはスパム行為と見なされ、ペナルティを受ける可能性があります。そうなれば、サイトがGoogleにインデックスされなくなったり、検索10ページ目以下に落とされたりするのです。
信頼できるSEO会社に依頼していない
SEOの知識はある程度持っておくべきではありますが、SEO会社に運営を委託するのも1つの方法です。キーワードの選定や運営方針のアドバイスなど、一部の業務を外注するのもよいでしょう。ただし、外部業者の力を借りるのであれば、信頼できるかどうかを見極める必要があります。
前述したような間違ったSEO対策を行うSEO会社に依頼すると、検索パフォーマンスが低下したりペナルティを受けたりする恐れがあるでしょう。良質なSEO会社の見分け方については、下記の記事をご覧ください。
E-A-Tの基本ができていない
E-A-Tとは、次の3つの要素の頭文字から成る用語です。
- Expertise(専門性)
- Authoritativeness(権威性)
- Trustworthiness(信頼性)
Googleは、専門性、権威性、信頼性に優れたコンテンツを上位表示させます。このE-A-Tの基本ができていないと、検索パフォーマンスの向上は難しいでしょう。ITツールを販売するBtoB企業の場合は、ITツールに関する専門知識を提供するコンテンツを作製するとともに、自社スタッフが監修することがポイントです。
そうすれば、E-A-Tの優れたコンテンツになるでしょう。
トレンドのキーワードに注力しすぎている
トレンドのキーワードとは、そのときに一時的に検索数が増えるキーワードのことです。例えば、オリンピックシーズンはオリンピック関連のキーワードが急激に増えますが、それ以外のシーズンでは検索数が少なくなります。トレンドキーワードのコンテンツを継続的に投稿すれば、確かにアクセスは得られるかもしれません。
しかし、BtoB企業として本当にアピールしたいコンテンツを作製できず、本来の目的を達成できなくなるでしょう。また、継続的にコンテンツを投稿することで、より多くのコストがかかります。投入した資金に対して利益が少なくなると予想できるため、トレンドのコンテンツは控えめが基本です。
常に安定した検索数のキーワードを主軸にコンテンツを充実化させましょう。
ファーストビューで離脱してしまう
ユーザーは、ファーストビューで70%以上が離脱するといわれています。その理由は、ファーストビューにユーザーが求めている情報が掲載されていないためです。求めている情報を取得するのにストレスがかかればかかるほどに、サイトから離脱してしまいます。
そのため、ファーストビューにユーザーが求める答えを書き、それをさらに掘り下げる流れが基本です。例えば、「業務効率化 方法」というキーワードで記事を作成する場合、最初に「業務効率化の種類」を一覧で記載し、それぞれの内容を掘り下げていきます。
最初に「そもそも業務効率化とは」や「どのぐらいの企業が業務効率化をしている?」などの見出しを入れると、ユーザーが求めている「業務効率化の方法」という情報の取得に時間がかかり、離脱してしまいます。
BtoB企業のSEO対策に役立つツール
BtoB企業がSEO対策を進める際は、コア業務に支障をきたすことがないように注意が必要です。少しでも業務効率を高めるために、さまざまなツールを導入しましょう。しかし、さまざまなツールがあり、どれが使いやすく信頼性が高いのかわからないのではないでしょうか。
次のツールは、一般的に広く浸透しており信頼性も高いツールです。
Googleキーワードプランナー
Googleキーワードプランナーは、キーワードの月間平均検索ボリュームや競合性などをチェックできるツールです。検索ボリュームが多くて競合性が低いキーワードが狙い目です。ただし、競合性が低いキーワードはコンバージョンに繋がりにくい可能性があります。候補となるキーワードを抽出し、実際にコンテンツを作成するキーワードを洗い出しましょう
Googleトレンド
Googleトレンドは、キーワードの人気度の動向や地域別の人気度をチェックできるツールです。急上昇ワードや人気の話題に基づいたキーワードでコンテンツを作成すると、一時的にサイトへの流入数を増やせる可能性があります。ただし、最終的に販売したい商品・サービスと無関係のコンテンツを投稿すると、サイトの専門性が低いと見なされる恐れがあるため、必ず関連性が高いコンテンツを作成しましょう。
Google Search Console
Google Search Consoleは、投稿したコンテンツの検索順位やクリック数、表示回数、CTRなどを確認できるツールです。クリック数が低い場合はタイトルを見直す、掲載順位が低いコンテンツを洗い出してリライトするなど、さまざまな用途で使用できます。
そのほか、コンテンツがインデックスされているかチェックし、されていない場合は問題を修正することも可能です。さらに、近年Googleが重視しているモバイルユーザビリティの評価も確認できます。
ahrefs
ahrefs(エイチレフス)は、競合サイトの検索流入の推移や流入キーワード、キーワード別の順位などを計測できる有料ツールです。BtoBのSEO対策では、競合調査が欠かせません。自社メディアが勝てるキーワードをピックアップしたり、ベンチマークとなるサイトを抽出したりする際に役立ちます。
ラッコツール「見出し(hタグ)抽出」
ラッコツールは、SEO対策に役立つさまざまなツールを提供しています。その1つが「見出し(hタグ)抽出」です。キーワードを入力すると、上位10サイトの見出しと文字数を把握できます。上位サイトの情報量を元に、記事の見出しを決める際に役立ちます。ただし、見出しを参考にする際は、そのままの文章をコピペしてはいけません。
また、オリジナル要素のない記事は上位表示されにくいため、あくまでも参考にしてください。
BtoBのSEO対策は信頼できる業者に任せましょう
BtoB企業は、個人と比べてSEO対策の効果が発揮されやすいため、基本ステップと成功のポイントを押さえれば、多数のコンテンツを上位表示できる可能性があります。今回、ご紹介した内容をチェックして、SEO対策を進めてみてください。
また、SEOのプロである専門業者に協力を求めるのも1つの方法です。身で勉強してSEO対策を行うのも良いですが、コア業務を圧迫するリスクがあります。
SEO会社は質がピンキリなため、慎重に選ぶことが大切です。BtoB向けのSEO会社の選び方については、こちらの記事をご覧ください。
また、株式会社ベンチャーネットは、BtoB企業のSEO対策に特化しております。サイトへのアクセス数アップだけではなく、コンバージョンまで見通した適切なSEO対策を実施いたします。まずはお気軽にご相談ください。