ROI(投資利益率)は、経営や事業展開において必ず追いたい指標の1つです。ROIは、SEO対策にも用いることができます。ROIを常に追うことで、SEO対策の効果を計測したり今後の方針を決めるのに役立てられたりします。ここでは、SEOのROI(投資利益率)について、計算式から計算例、改善ポイントまで詳しくご紹介します。
そもそもROIとは
ROI(アールオーアイ・ロイ)は「Return On Investment」の略称で、日本語では投資利益率といいます。ROIは、投資した金額に対する収益性を図る指標です。一般的には、株式投資や経営などで用いられる指標ですが、SEO対策においても使用できます。
ROIの計算式
ROIの計算式は次のとおりです。
例えば、2億円の投資によって3億円の売上を得られた場合は、次のように計算します。
これは、投資した額の1.5倍の利益を得られたことを意味します。
SEOのROIとは
SEOにおけるROIでは、SEO対策にかけたコストを投資額として計算式に組み込みます。SEO対策でかかるコストには、SEO対策ツールの初期費用や月額費用、人件費があります。人件費には、SEOコンテンツの作成費用、LPの作成費用などが含まれています。ただし、社内でSEO対策を実施する場合、この人件費を計算式に組み込むことは難しいでしょう。
SEO対策業務のみを行っており、成果に応じて給与が変動するような場合ではない限り、ROIの計算式に組み込んでも正確な値を算出することができません。
アウトソーシングするのであれば、外注費として計算式に組み込むことができるでしょう。これは、コンテンツSEOの制作費1本25,000円、SEOコンサルティング月額20万円など、投資額を明確にできるためです。
SEOのROIの計算例
それでは、SEOのROIの計算例をいくつかご紹介します。
ケース1.SEOコンテンツを外注した場合
自社でSEOコンテンツを継続的に投稿していたものの、思っているほどの成果を得られていない場合、外注化を検討する方が多いのではないでしょうか。専門技術によって作成されたSEOコンテンツは、そうではないものと比べて上位表示されやすくなります。
この場合、社内のリソースを確保するためではなく、成果を求める観点から外注します。
月間平均検索訪問数: 500件
検索経由の訪問者のCVR: 3%
1件あたりの売上……2万円
現在の月間売上……500×3%×2万円=30万円
外注費:月額20万円
月間平均検索訪問数: 1,000件
検索経由の訪問者のCVR: 5%
1件あたりの売上……2万円
現在の月間売上……1,000×5%×2万円=100万円
SEOコンテンツの外注化によって月間平均検索訪問数が増加し、検索経由の訪問者のCVRもアップした場合のROIは次のとおりです。
元々の売上と比べて売上が70万円が増えて、月額20万円の費用がかかっているため、上記の計算式となります。
ケース2.SEO対策ツールを導入した場合
SEO対策ツールとは、サジェストキーワードや関連キーワードといったSEOコンテンツの作成に必要な情報や、検索順位やCVRなどを一括で取得できるツールです。SEOコンテンツの作成や内部施策、外部施策ではさまざまな情報が必要です。1つずつ手作業で取得する場合、施策を開始するまでに長い時間がかかります。
そのため、SEO対策ツールを積極的に使用して、施策を始めるスピードを早めることが重要です。SEO対策ツールの導入によってどれだけ利益が増えたのかがわかれば、SEO対策ツールの導入におけるROIを算出できます。
月間平均検索訪問数: 1,000件
検索経由の訪問者のCVR: 5%
1件あたりの売上……2万円
現在の月間売上……1,000×5%×2万円=100万円
SEO対策ツールの費用:初期費用2万円+月額1万円
月間平均検索訪問数: 2,000件
検索経由の訪問者のCVR: 7%
1件あたりの売上……2万円
現在の月間売上……2,000×7%×2万円=280万円
SEO対策ツールの導入によって質の高いコンテンツを作成できるようになった結果、月間平均検索訪問数が増加し、検索経由の訪問者のCVRもアップした場合のROIは次のとおりです。
脅威的な数字ではありますが、SEOコンテンツの上位表示には、コンテンツの品質だけではなく、キーワードの入れ方や内部リンク、被リンク、モバイルユーザビリティなど、さまざまな要素が影響します。これらの情報を有効活用できれば、このように脅威的なROIとなります。
ケース3.SEOコンサルティングを受けた場合
SEOコンサルティングは、SEO対策のアドバイスだけではなく、実際にライターやデザイナーに発注してディレクションを行う場合もあります。アドバイスのみの場合、それをコンテンツ作成に活かすことができるかどうかが重要なポイントです。
的確なアドバイスであり、なおかつ自社が始めやすい施策を提案されたのであれば、ROIを計算できるでしょう。
月間平均検索訪問数: 1,000件
検索経由の訪問者のCVR: 5%
1件あたりの売上……2万円
現在の月間売上……1,000×5%×2万円=100万円
SEOコンサルティングの費用:月額20万円
アドバイスに従って実施した施策にかかった費用:月額20万円
月間平均検索訪問数: 3,000件
検索経由の訪問者のCVR: 8%
1件あたりの売上……2万円
現在の月間売上……3,000×8%×2万円=480万円
SEOコンサルティングで得たアドバイスに従って施策を実施した結果、月間平均検索訪問数が増加し、検索経由の訪問者のCVRもアップした場合のROIは次のとおりです。
このように、専門家からのアドバイスによってROIが大きく上がるケースは少なくありません。もちろん、SEOコンサルタントの質や自社製品・サービスの性質、相性なども関係します。
SEOのROIを高める方法
SEOのROIを高めるには、次のような施策を実施する必要があります。
質の高いアウトソーシング先を選ぶ
アウトソーシングは失敗のリスクが高いため、発注先の質に注目が必要です。評判が良い、規模が大きいといった理由だけで発注先を選んではいけません。お試し発注するにしても、品質を維持できるのかどうか確認が必要です。
使いやすいSEO対策ツールを導入する
多機能なSEO対策ツールもありますが、使いこなせなかったりUIがわかりにくかったりする場合があります。誰でも簡単に素早く使えてこそ効果を発揮するため、使いやすいSEO対策ツールを導入しましょう。
契約継続の判断基準を明確化する
SEOコンサルティングやSEOコンテンツのアウトソーシングにおいては、契約継続の判断基準を明確にしておくことが大切です。例えば、売上が10%下がったら契約終了、CVRが3%を切ったら発注量を減らすなどの方法があります。ただし、Googleアップデートでパフォーマンスが低下することは、誰にも予想ができません。そして、Googleアップデートで低下したパフォーマンスを再び上げることができるかどうかも、実際に施策を行わなければわからないのです。
Googleアップデートではなく、単にコンテンツの品質が落ちた場合に、上記のような基準で契約継続の判断をしましょう。
まとめ
ROIからは、SEO対策にかけた費用に対して得られた利益がわかります。費用に対して得られた利益が少ない場合は、費用のかけ方や発注先、方法などを見直した方がよいでしょう。ROIが良い状況を保つことで経営が安定し、より多額の費用がかかる大きな施策を打てるようになります。