コロナ禍で売上を伸ばすには、オンライン営業の工夫と強化が必要です。そのために、まずはオンライン営業の特徴やデメリットを確認しましょう。特徴を捉えつつ、デメリットを抑える施策を行うことで、オンライン営業の売上を伸ばせるでしょう。ここでは、オンライン営業の特徴からメリットとデメリット、成功するための方法まで詳しくご紹介します。
オンライン営業のメリット
オンライン営業に慣れないうちは、早く元の営業方法に戻りたいと感じることでしょう。実は、オンライン営業にもメリットがあります。オンライン営業を行う側と受ける側に分けて、メリットを詳しくみていきましょう。
オンライン営業を行う側のメリット
オンライン営業を行う側のメリットは、主に時間やコストによるものです。どのようなメリットがあるのか詳しくみていきましょう。
移動コストが削減される
オンライン営業であれば、移動コストを大幅に削減できます。オンライン営業ツールさえあれば、どこからでも商談できるため、外回りとオンライン営業を併用することも可能です。移動コストは、積み重なると大きなコストになるため、それを丸々カットできるのは大きなメリットでしょう。
例えば、1回の営業に交通費が600円かかっており、1日2商談する場合は、1日1,200円もの移動コストがかかります。営業マンが10人の場合、単純計算で1日12,000円になるのです。これを月21日とした場合、月25万2,000円になります。
年間約300万円もの移動コストを削減できるため、オンライン営業はコスト面に大きなメリットがあると言えるでしょう。
リードタイムの短縮
オンライン営業なら、リードタイムを短縮できます。リードタイムとは、発注から納品までの期間のことです。発注を受けてから納品までの間に、何度も打ち合わせが発生するケースがあります。オンラインでの打ち合わせであれば、移動コストと時間的な問題を解消しつつ、負担を抑えられます。
結果的にリードタイムが短縮され、顧客満足度が高まるでしょう。また、次の納品までの期間も短縮されることで、利益アップも見込めます。ただし、リードタイムを短縮するには、オンライン営業ツールの扱いになれており、その他の問題が解消されている必要があります。
録音や録画を活用したPDCA
オンライン営業では、商談中の映像や音声を記録できます。もちろん、相手型の許可を得た場合に限りますが、記録を断られるケースはほとんどありません。今後の改善やより良いサービスを提供するためだけに使用する旨を伝えることが大切です。
録音や録画をもとに、商談方法の問題を確認し、改善するなど、効率よくPDCAサイクルを回せます。対面では、録音や録画を断られるケースが少なくありません。話しているところを映像に残されることに抵抗がある方は多いでしょう。
それがオンラインになると、なぜか抵抗が少なくなるのです。これは、カメラを回されたりICレコーダーを向けられたりする過程がないためと考えられます。
PDCAサイクルを効率よく回せることで、結果的に顧客満足度の向上と売上アップに繋がるでしょう。
オンライン営業を受ける側のメリット
オンライン営業には、受ける側にもメリットがあります。オンライン営業を行う側は、受ける側のメリットを伸ばせるような施策を実施したいところです。それでは、オンライン営業を受ける側のメリットについて詳しくみていきましょう。
気軽に商談依頼ができる
オンラインなら、気軽に商談を依頼できます。対面での商談依頼だと、移動時間を踏まえて商談日を決めるため、他の商談や業務の都合で、なかなか商談日が決まりません。オンラインなら移動時間を考慮せずに済むため、近いうちに商談を実現できます。
商談依頼の時点では、商品やサービスの購入が決定していないことがほとんどです。そのようなケースで商談日が決めづらいと、依頼自体をやめてしまう可能性があります。また、競合他社にも商談依頼をしている場合、対応の早さが依頼先を決める重要な要素になります。
そのため、気軽に商談依頼ができることは大きなメリットと言えるでしょう。
購買活動が効率化する
オンライン営業であれば、効率的な購買活動が可能です。複数のサービスや商品を導入する場合、短期間で複数社に商談依頼や発注ができるようになります。購買活動が効率化できれば、購買意欲も高まります。
その結果、成約に繋がりやすくなるでしょう。また、購買活動が効率化すれば商談や打ち合わせによる業務への圧迫も少なくなります。オンライン営業を持ちかけられても承諾しやすくなるのです。
対面と比べて断りやすい
商談依頼をしたものの、イメージと違ったために購入を断りたいケースは少なくありません。オンライン営業では、対面営業と比べて断りやすいことがメリットです。
これは、オンライン営業を行う側にとってデメリットになると思われがちです。しかし、対面と比べて断りやすいことでオンライン商談を依頼しやすくなり、それだけ顧客と関わる頻度が増えます。
商品やサービスがニーズに合致していなくても、営業マンの人柄や立ち振る舞いが伝わることで、他に気になる商品やサービスが出てきたときに相談してもらいやすくなります。
オンライン営業のデメリット
オンライン営業を実施するときは、デメリットにも注目しましょう。デメリットをいかに抑えるかが重要です。それでは、オンライン営業を行う側と受ける側のデメリットについて詳しくみていきましょう。
オンライン営業を行う側のデメリット
オンライン営業を行う側には、次のデメリットがあります。
名刺情報の交換が難しい
オンライン営業では名刺情報を交換できません。相手の連絡先がわからなければメールで担当者名や連絡先、資料ダウンロードURLなどの情報も伝えられないでしょう。ただし、オンライン営業ツールによっては、チャット機能で名刺情報を伝えることが可能です。
しかしながら、ツールの使用に慣れていない方にとっては、名刺情報をコピー&ペーストしたりメモに書き写したりすることがストレスになります。そのため、相手によっては名刺情報を残してもらえず、セカンドチャンスを失う可能性もあります。
非言語の強みが通じにくい
WEBカメラを通じたオンライン営業では、非言語コミュニケーションに問題が生じます。営業マンの動作やアイコンタクト、身体の接触、人柄、商品やサービスのイメージが伝わりにくくなることで、商談が成立しづらくなるでしょう。
商談では、営業マンの人柄が非常に重要です。商品やサービスがニーズに合致しているのは当然としても、「あなただから購入する」といったケースが少なくありません。営業マンの人柄に問題があれば、競合他社へと流れてしまうでしょう。
そのため、非言語の強みをできるだけ通じるように対策が必要なのです。
オンライン営業を受ける側のデメリット
続いて、オンライン営業を受ける側のデメリットについて詳しくみていきましょう。
誠意を感じない
オンライン営業では、相手の姿を直接見れないことで、誠意を感じにくい傾向があります。例えば、画質が荒かったり暗かったりすると、表情の細かい変化を捉えられません。それだけで誠意を感じられなくなる場合もあるでしょう。
誠意は、成約するかどうかを決める重要な要素です。
安心感を得られない
オンライン営業では、相手の顔を直接見れないため、嘘を見抜きにくい傾向があります。相手に不信感を抱くことで安心できず、成約に至らないケースが少なくありません。どれだけ素晴らしい商品やサービスでも、安心感がなければ購入できないでしょう。
実際に姿を見ることで、相手が嘘をついているかどうか、実在する会社かどうかを判断しやすくなります。
機材の利用に慣れる必要がある
オンライン営業を受けるには、機材を導入する必要があります。WEBカメラやマイク、ヘッドフォンなどの購入にはコストがかかります。1セット1万円以内に抑えても、従業員全員分を確保するには、100万円以上のコストがかかる場合もあるでしょう。
そのうえで機材の利用に慣れなければなりません。最初は思うように質問がまとまらなかったり、疑問点が出にくくなったりして、商談にとまどうでしょう。また、アナログ中心の会社だと、デジタル機材の扱いになかなか慣れることができず、商談に対して消極的になる可能性もあります。
ツール利用のストレスが大きい
オンライン営業ツールは使用時のストレスが大きい傾向があります。ツール利用時には、次のストレスがかかります。
通信障害
商談の途中で通信障害が起こると、商談を中断せざるを得なくなる可能性があります。また、重要なところを聞き取れなかったために、成約に至らなくなる場合もあるでしょう。
雑音
雑音は、営業マンや客側の声の邪魔をすることで、相手に気持ちや情報が伝わりにくくなります。雑音が気になると、他のことに集中できなくなり、成約率が下がる可能性があります。
顔が映ることや録音への抵抗感
画面越しに顔が見えることや録音されることに抵抗感を覚える方は少なくありません。顔を伏せがちになったり、言葉を慎重に選びすぎてうまく話せなくなる場合もあるでしょう。
ツール準備に手間がかかる
ツールの準備には、関連ソフトウェアのインストールや機材の購入、必要に応じてUSB端子の増設などが必要です。1台のPCでのみ準備をするならば、それほど大きな手間にはなりません。しかし、10台、20台、ないしは100台以上ものPCで準備をする場合、大きな手間になります。業務を圧迫する恐れもあるため、オンライン営業を受けることに消極的になる企業は少なくありません。
設備上の問題をクリアすることが難しい
設備上の問題で、オンライン営業を受ける環境を準備できない場合もあります。配線の関係や使用しているPCのスペックなどがあるでしょう。また、オンライン営業で会話をすることで、他の業務をしている人を邪魔してしまうケースもあります。
オンライン商談を行うときは別室に移動するなどの対応策が必要でしょう。しかし、別室を用意できない場合は、オンライン商談を諦めることになる可能性もあります。
セキュリティ上でのハードルをなかなかクリアできない
オンライン営業で使用するツールが、必ずしもセキュリティ性に優れているとは限りません。社内の承認を得ずにツールを導入できない場合、承認が降りるまでに時間がかかり、オンライン営業を受けるタイミングが遅くなる場合があります。
商談のタイミングが遅れるとニーズが合わなくなり、結果的に成約に至らない可能性が高まるケースもあるでしょう。
製品の実物を確認できない
オンライン営業では、製品の実物を直接確認できません。サイズ感や重さ、質感などが今一つわからず、成約を決断しにくくなります。サンプルを送付してもらうにしても、成約までに時間がかかってしまいます。
結果的に、商談の回数が多くなることで、商談数に対する売上が低くなるのです。
オンライン営業の準備における問題点
オンライン営業を行う場合、準備において次の問題が起こる可能性があります。
ツールの導入と浸透に労力がかかる
ツールの導入と浸透に手間と労力がかかるのは、オンライン営業を受ける側だけではありません。オンライン営業を行う側もツールを導入して、使い方を浸透させる必要があります。社内研修を開催したり、個別に指導したりと、他の業務を圧迫する場合もあるでしょう。
オンライン営業に適した営業方法の浸透に時間がかかる
オンライン営業に適した営業方法を身につけなければ、なかなか成約には至りません。オンライン営業に適した営業方法を教えられる人物が必要です。社内にいない場合は、外部から招く必要があるでしょう。
実際にオンライン営業を社内で実践して、PDCAサイクルを回すことで少しずつ質を上げていくことが可能です。アナログな営業方法に慣れている場合、急にオンライン営業に対応することは難しいでしょう。
長い目で見ながら少しずつ浸透させていき、従業員に大きなストレスをかけないことが重要ではないでしょうか。
オンライン営業を成功するためのポイント
オンライン営業に成功するには、オンライン営業のメリットやデメリット、準備の注意点などを踏まえて、重要なポイントを押さえる必要があります。それでは、オンライン営業に成功するためのポイントについて詳しくみていきましょう。
オンラインコミュニケーションの弱点の理解
まずは、オンライン営業におけるコミュニケーションの問題点を把握する必要があります。人柄やアイコンタクト、接触などの非言語コミュニケーションに弱いことを踏まえることが大切です。少し、大げさともいえるぐらいの身振り手振りをしたり、雑音に邪魔をされないぐらいハキハキと話したりしましょう。
オンラインとオフラインでコミュニケーションにほとんど差がないと思ってもらえれば、会社そのものに対する信頼感が増します。結果的に成約に繋がりやすくなるため、質の高いオンラインコミュニケーションを身につけることが重要です。
顧客のストレスを軽減する準備
顧客のストレスを軽減することで、オンライン営業に対して前向きな姿勢を持ってもらえます。設備の提案はもちろんのこと、次のような取り組みも必要です。
画面共有を活用
オンライン営業ツールによっては、画面共有が可能です。こちらの画面を相手も見れるようにすることで、オンラインでもスムーズに商談が進みます。疑問点が浮かびにくく、信頼性と安心感が高まるでしょう。
使用するツールが画面共有できるかどうかは事前に確認しておきましょう。また、googleスプレッドシートやオンラインで資料を閲覧できるツールなど、さまざまなツールを使うことが大切です。
1スライド1メッセージ
オンライン営業で顧客に提示する資料は、1スライド1メッセージが基本です。1ページに大きな文字でメッセージを書くことで相手に伝わりやすくなります。1ページに情報が詰め込まれていると、資料の読み込みに時間がかかったり、どの部分について説明されているのかわからなくなったりします。
結果的にオンライン営業の時間が長くなるでしょう。1スライド1メッセージなら、1つのメッセージを十分に理解してもらったうえで次のメッセージを伝えられます。
商談時間を短縮する工夫
商談時間が長くなると、顧客のストレスが増加します。商談時間を短縮するために、口頭で説明することを減らし、なるべく資料化しましょう。資料をデータで送付すれば、商談後に確認してもらうことも可能です。オンライン営業で、顧客のストレスを軽減する姿勢を見せることで、信頼性が高まります。
顧客満足度を高める工夫
顧客満足度を高める工夫として、お役立ちコンテンツや情報を伝えることも大切です。これは、オフラインの営業でも行うべき手法です。展覧会や法改正の情報などを伝え、顧客の利益を増やしましょう。そうすれば、自社に対する信頼性や安心感が高まり、成約に繋がりやすくなります。
オンライン営業の成功例
オンライン営業の成功に必要なポイントをお伝えしましたが、ここで実際に成功した企業が行っている施策をご紹介します。
商談数を増やす
1日2商談を4商談に増やすことでオンライン営業による成約率の低下に対処した例があります。ただし、1回の商談の中身が薄くなれば、成約率は低下し続けるでしょう。営業マンの負担が大きくなるうえに、自社に対するイメージが悪くなる恐れがあります。
商談数を増やすときは、環境を整えることが大切です。
お役立ちコンテンツの配信を強化
オンライン営業では、どうしてもオフライン営業よりも信頼性を高めにくいため、お役立ちコンテンツの配信を強化することが重要です。信頼性が高まるほどに、商談を依頼されやすくなります。配信方法は、メルマガが主な方法ですが、お役立ちコンテンツを伝えるためだけにオンライン営業ツールを使っても問題ありません。
ただし、相手に時間をとらせることになるため、重要なコンテンツを伝えるときのみオンライン営業ツールを使いましょう。
顔を映さないオンライン営業
相手の顔を映さない方法での商談を提案した例があります。相手は営業マンの顔が見えるため、商談に大きな問題は起こりません。ただし、顧客の顔が見えないことで、成約に対して前向きかどうかを読み取りにくくなります。
面談時間に制限をかけない
1回の面談の成功率を上げるために、面談時間に制限をかけない例もあります。1回の面談で不明点をすべて解消できることで、少ない商談回数で成約できます。時間に換算すると、時間制限をかけた場合と比べて短時間で成約に至る可能性があります。
顧客と営業をかける側の両方の負担を軽減できるでしょう。
まとめ
オンライン営業を実施するときは、デメリットを抑えるための対策が必要です。自社のオンライン営業の問題点を解消するだけではなく、顧客にヒアリングをしたうえで問題解決をサポートしましょう。そうすれば、自社に対する信頼感と安心感が高まり、成約率が上がることが期待できます。オンライン営業は、工夫次第で成約率を上げることも可能です。時代の変化に対応すべく、オンライン営業を成功するためのポイントをしっかり押さえましょう。