KGIは、すべての企業が設定することが望ましい指標の1つです。KGIは、KPIやKSFなどとあわせて設定することで、達成しやすくなります。設定方法を誤ると達成率が低下するため、正しいKGIの設定方法を覚えておくことが大切です。ここでは、KGIとは何か、設定するメリットや具体例、達成のために必要な要素について詳しくご紹介します。
KGIとは
KGI(Key Goal Indicato)は、「重要目標達成指標」を意味します。企業が最終的に目指す数値目標のことです。つまり、従業員のすべての行動はKGIに繋がっている必要があります。
KGIの例をいくつかご紹介します。
・来年度の売上30%アップを達成する
・利益率50%アップを達成する
・業界シェア80%を達成する
このように、具体的な数値をKGIに定めることが大切です。「顧客を笑顔にする」といった定性的なKGIでは、従業員によって必要な行動に対する認識が変わってしまいます。
数値であれば、誰が見ても同じ認識になるため、チーム一丸となってKGIの達成に向けて取り組めます。
KGIを設定すべき理由
KGIを設定した方がよい理由は、企業が達成すべき目標を従業員に常に認識してもらい、企業の成長を図るためです。また、KGIを提示するだけでは、従業員にどのような行動をとるべきか理解してもらえません。
KGIとあわせてKPIの設定も必要です。KPIについては、後述します。それでは、KGIの具体例やKPIとの違いについて詳しくみていきましょう。
KGIの具体例
新サービスをローンチした当初は、いかに広くサービスの存在を知ってもらえるかが重要です。そして、売上を早い段階で伸ばすことで、内部留保を確保できて企業の安定性が高まります。そのため、「1年後に売上20億円を達成する」や「月間の成約数を3倍にする」といったKGIが相応しいでしょう。
企業規模が大きくなり、株式の上場が視野に入ってきた場合は、「3年後の上場に向けて2年後の決算までに営業利益30億円を達成する」など、少し入り組んだ構造のKGIを設定します。このように、KGIは会社の展望や現状に応じて変わります。
KPIとの違い
KGIとKPIはセットで設定します。KGIが「会社の目標を達成するためのゴール」であるのに対し、KPIは「ゴールのために達成すべき指標」です。つまり、KPIを達成できれば、結果的にKGIを達成できます。
KGIを従業員に提示したとき、「目標は理解できたが、どのような行動をとればいいかわからない」、「漠然とした目標を伝えられてもモチベーションが上がらない」といった問題が起こります。
それでは、KPIを一緒に提示した場合はどうなるでしょうか。
KGIの達成に必要な行動がわかり、高いモチベーションを維持できるようになります。ただし、KPIとKGIを共有したり見える可したりと、現場に浸透させるための工夫が必要です。
KSFとの違い
KSFは、KGIの達成に必要な条件や要因のことです。例えば、KGIが「1年後の決算までに売上50%アップ」の場合、KSFは「新規顧客の獲得」や「問い合わせ数の増加」などです。このように、KGIを達成するためにとるべき行動がKSFとなります。
KGIを設定するメリット
KGIは、売上や利益率、販売数などを設定します。KGIを設定するメリットについて詳しくみていきましょう。
会社の目標を従業員に示せる
KGIによって会社の目標を従業員に示せます。目標がわからない場合、従業員は自分の存在価値を見いだせず、モチベーションが低下したり、企業に不信感を抱いたりします。KGIを設定して、会社の目標を示すことで、従業員のモチベーションアップを図れると同時に信頼を獲得できるのです。
日々とるべき行動を理解できる
KGIを設定しない場合、日々の業務で取り組むべきことが見えません。闇雲に売上アップに繋がると思われる行動をとっても、どれも中途半端な結果になるでしょう。KGIを設定すれば、業務の優先順位が明確になります。
集中すべき業務が明確になれば、従業員としてもモチベーションを維持しやすいでしょう。
事業単位で進捗がわかる
KGIには数値を使用するため、主観が入りません。そのため、事業単位でKGIを設定することで、それぞれの進捗が一目でわかります。例えば、「売上100万円達成」といっても、100万円が多いのかどうかわかりません。
それでは、「達成率80%」はどうでしょうか。進捗が80%だと明確に示せることで、主観が入らずに現在の状況がわかります。
モチベーション維持に役立つ
従業員に給与を支払えば持てる力をすべて出し尽くしてくれると思っている経営者は少なくありません。人は、パフォーマンスを発揮できるかどうかがモチベーションに左右されます。KGIを設定すれば従業員に目標を与えられるため、モチベーションが上がりやすくなるのです。
KGIの設定方法
KGIは、次の5つの要素すべてを含むことが望ましいです。
・明確性〈Specific〉
・計量性〈Measurable〉
・現実性〈Achievable〉
・結果指向または関連性〈Result-oriented or Relevant〉
・適時性〈Time-bound〉
一見、難しく思えるかもしれませんが、どれも単純明快なルールです。1つずつ詳しくみていきましょう。
明確性〈Specific〉
明確性とは、その名のとおり「誰が見てもわかる具体的な数値」を示すことです。例えば、「リピート率を高める」は明確とは言えませんよね。それでは、「リピート率80%を目指す」はどうでしょうか。具体的な数値を示しているため、明確な目標と言えるでしょう。
「先週よりも多く売り上げる」、「先週よりも売上を2倍に増やす」も同じく、後者が明確な目標です。このように、KGIには明確な目標を設定しましょう。
計量性〈Measurable〉
計量性とは、測定できる数値を設定することです。例えば、「売上を伸ばす」、「お客様を笑顔にする」といった曖昧な目標ではなく、「売上を前年比150%にする」のように具体的な目標を指します。
明確性と計量性はセットです。明確性がある目標には、計量性もあります。計量性があれば、目標の進捗が具体的な数値でわかるため、主観が入りません。
現実性〈Achievable〉
KGIは従業員のモチベーションアップに役立つものですが、現実性のある数値を設定しなければ効果を発揮しません。例えば、「前年比300%を目指す」などと言われても、従業員にとっては到底無理な目標のため、モチベーションが下がるでしょう。
KGIは、努力すれば達成できる現実性のある数値を設定することが大切です。そうすれば、従業員としても目標達成のビジョンやプロセスが明確になり、モチベーションが高まります。
結果指向または関連性〈Result-oriented or Relevant〉
結果指向と関連性は、KGIとKPIをリンクさせることを指します。KPIを達成することで、結果的にKGIを達成できることが重要です。例えば、KGIが「売上150%アップ」であるのに、KPIを「既存顧客への提案件数100件」などとすると、KPIを達成してもKGIが達成できません。
この場合は、KPIを「新規顧客の獲得数100件」や「問い合わせ件数300件」といった売上に大きく貢献できる目標に設定すべきでしょう。
適時性〈Time-bound〉
適時性とは、KGIに期限をつけることです。例えば、「売上150%アップ」とだけ提示されても、いつまでに達成すべきかわかりません。適時性がないKGIは、従業員のモチベーションアップのメリットを得られないでしょう。
四半期単位など、期間ごとにKGIを設定することで、モチベーションを維持しやすくなります。
KGIを達成するためのポイント
KGIを達成するには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
KPIを設定する
KGIとKPIはセットです。KPIは現場の従業員にKGIを達成するためにとるべき行動を理解してもらうために使います。KPIは、KGIと同じく明確かつ具体的で、現実性のある数値を設定します。そして、KGIと同じ期間制限を設けて運用してください。
KGIが「利益率80%以上」の場合、これを達成するために必要な目標をKPIに設定しましょう。このとき、個人の業務内容にまで細かく落とし込むことは避けてください。業務が複雑かすると同時に、従業員が窮屈さを感じてモチベーションが下がる可能性があります。
KPIを定期的に評価する
KPIの進捗状況を定期的に評価して、適切に行動できているか確認が必要です。よく使われるのが、3つの色に分けて進捗状況を示す方式です。例えば、進捗70%以上はブルー、50%以下はグリーン、30%以下はレッドなど、一目で進捗がわかるように工夫しましょう。
KPIを瞬時に確認できるとともに、理解が深まります。
CRM・SFAで見える可する
KGIとKPIは、CRM・SFAで見える可しましょう。CRMは顧客管理システム、SFAは営業支援システムのことで、これら両方の機能を搭載するのがSalesforceです。KGIとKPIを表やグラフで表示できるため、瞬時に現状を把握できます。
また、既存顧客に対する営業の商談フェーズや、前回の商談からの経過日数なども一目でわかるため、営業効率が格段に上がるでしょう。KGIとKPIの理解・認識が高まるとともに、これらを達成するための営業活動の効率が上がる優れたシステムです。
まとめ
KGIは、企業の最終目標の指標です。KGIとKPIを適切に運用できれば、従業員がやるべきことが明確になり、モチベーションが高まるでしょう。明確性や関連性、現実性などの条件を全て満たしたKGIを設定することが大切です。また、SalesforceのようなSFA・CRMシステムを導入して、KGIとKPIを可視化しましょう。