受注先、そして自分を育てる~みんなで成長する話②~(借金玉のマイクロ起業 Vol.12)

こんにちは。借金玉です。僕は現在、2足の草鞋を履きながら、マイクロ起業に挑んでいます。このコラムでは、いろいろな観点から「マイクロ起業論」を述べて行きたいと思います。第12回目の今回は、前回に続き「みんなで成長する」というお話しです。

目次

「マイクロ」起業であるからこそ挑まなければならないこと

前回は外注先を育てる、つまり内部環境についてのお話でしたが、今回は外部環境と自分自身の成長について考えてみます。

受注先を育てる話

さて、ここまでは仕事の発注先を育てるお話をしてきましたが、ここから先は仕事を僕に発注する側、受注先を育てるお話です。というのも、自社に本当に必要な仕事がどのようなものであるか、本当の意味でわかっている会社というのは決して多くありません。「この仕事、意味ないんじゃないか?」と感じるようなお仕事を依頼されることは結構あります。ここで「お金さえ払ってくれれば文句ないよ、僕は依頼されたことをやるだけ」に留まっているのは、マイクロ起業という考え方の上ではあまり好ましくないと思います。

もちろん、ビジネスにおける考え方は人それぞれです。「自分は依頼された業務を何も考えずこなすのみだ」という考え方もそれはそれで一理あるでしょう。しかし、僕はやらなくていい仕事は一つもやりたくないのです。ちょっとでも楽がしたいです。僅かでも仕事の量を切り詰めたいのです。

「コミュニケーションコスト」という考え方があります。一般的に知られているかはわかりませんが、とにかく「仕事を受託する」という過程において莫大な手間と時間を要求される受注先というのは存在するんです。かといって、その辺を適当ぶっこいて曖昧な仕事を曖昧なまま誰かに発注したら大惨事になってしまった、そういうこともよくあります。だからこそ、受注先には「何のためにこの仕事を僕に発注するのか」を少しでも明確にしてもらいたいと思っています。コミュニケーションコストを下げてもらうために。

現代社会は皆さんとても忙しいです。大手企業から中小零細まで、暇なビジネスマンなんて一人もいないと言い切ってしまっていいでしょう。その中で、仕事をより本質的に切り詰め、効果的なサービスを提供するために、受注先にも「成長」して貰う必要があります。どんな些細なものであれ、誰かに仕事を依頼するというのは大変なことです。それこそ、八百屋に大根一本を買いに行ってもらうお使いですら、仕事として誰かに依頼するとなると途端に面倒なものになります。

大根が売り切れていたらどうすればいいか、想定よりも値段が高かったらどうすればいいか。時には、顧客が本当に求めていたのは長芋だったりすることもあります。そういう時にスムーズに対処が出来るよう、仕事が無駄な手間なく円滑に進むよう、受注先とのやり取りの中で相互理解を図り、上手に僕を使ってもらえるように「成長戦略」をとることが大切です。逆に言えば、最初から外注先を上手に使える会社なんてそれほどは存在しません。中小零細になればより一層です。

自分を育てる話

さて、発注先、受注先それぞれを「育てる」ことを語りましたが、もう一人育たなければいけない存在がいますよね。そう、他ならぬ僕自身です。僕の行っていることは、仕事を受注し、発注する。その間に立って利鞘を抜くこということに他ならないのですが、発注することにも受注することにも当然技術が必要です。上手に発注して上手に受注する。この二つさえ出来れば、その時点でお金が稼げてしまうと言っても過言ではありません。

仕事について思うことですが、上手な指示をする人間に依頼された仕事をこなすのは楽しいものです。しかし、「上手な指示」とは本質的にどういうものなのかあまりはっきりとしてはいません。僕にとって最高のクライアントが、あなたにとって最悪のクライアントであることは十分にあり得ます。でも、それは必ずしも悪いことでもないですよね。だからこそ僕みたいな人間にも仕事が回ってくるわけですし。

しかし、マイクロ起業においてクライアントはあまり選べないことが多いでしょう。下請け先にもそれほど多くの選択肢はありません。ある程度(一定以上コストが大きくなるのなら、切り捨てるのも重要ですが)は人に合わせてやり方を模索していく必要があります。だからといって、全てを受注先や発注先に寄り添っていては利益が出ません。そこで、「みんなでみんなを許しあいながら成長していきましょう」という戦略が大事になってきます。

発注先を育て、受注先を育て、自分自身もまた育てられる。その中で、全員のコミュニケーションコストを最小化し利益を最大化する。自分で言っていてもなかなかに青臭い理想論だなぁと思いますが、でも「市場は弱肉強食だ!」と目を吊り上げていた頃の僕よりは、大分正解に近づいたのではないかな、という気がしています。

何度もお話していることですけれど、僕は数千万を投資し多くの人を巻き込んだ起業に失敗しました。でも、恥ずかしげもなく「次はもっと上手くやります」と言いながら生きています。恥知らずの開き直りと言われればその通りですが、僕はこの考え方がとても大事だと思います。現在のマイクロ起業に関してもそうです。

「僕の提供するサービスは完全ではありませんし、失敗もすると思います。でも、次回はもっと上手くやりますのでご協力ください、僕もご協力させていただきます」そういう感じで、人と人の間に立ちバランスを取っていければいいかなぁ、なんて最近は思っています。

そういうわけで、現時点で仕事が全くモノになっていない発注先各氏、そりゃしょうがないし業務習得速度や現状の技術に個人差があるのは当たり前だ。それでも僕はまた発注するし、僕ももっと上手に発注できるように頑張るから、次はお互い上手くやろうぜ。仕事バックレた氏、次はバックレんなよ。そして、僕に仕事を発注している各氏。僕ももっと上手にやれるように頑張りますので、僕をもっと上手に使えるように頑張ってください。

お互い、次はもっと上手くやりましょう。今日より明日をいい日にしましょう。やっていきましょう。

尚、この原稿は期日を過ぎての入稿となっており、株式会社ベンチャーネット様は大変素晴らしいクライアントです。すいません、次は上手くやります。ありがとうございます。そしてこの文章を読んでくださっている皆様にも、心からの感謝を。やっていきます。

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この記事を書いた人

1985年、北海道生まれ。大学卒業後、大手金融機関に就職するが2年で退職。
現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。
著書に『発達障害サバイバルガイド: 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)、『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)がある。

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