飲食店ビジネスのウラガワ?コスト計算、地獄の資金繰り(借金玉のマイクロ起業 Vol.15)

明けましておめでとうございます。借金玉です。僕は現在、2足の草鞋を履きながら、マイクロ起業に挑戦しています。

ところで、僕は以前、飲食業に手を染めたことがあります。新年早々にこんな話もアレかもしれませんが、飲食店は、最悪のビジネスです。皆さんも「飲食は辛い」というお話はうんざりするほど小耳に挟んでいると思いますが、是非その最悪っぷりをもう一度聞いてください。

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かつての僕が主だった飲食店

僕がかつて経営していたお店の序盤期の客単価は5000円くらい。一日の入客数は20~30人程度。お客様の滞在時間が長めのお酒を出すお店でした。仮に、1日の平均集客を25人としてみましょう。1日の売り上げは12万5千円。月25日営業で312万円の売り上げです。これは、「まずまず」の数字です。これがいわゆる水揚げ高です。(尚、その後客単価は6000円まで上昇し、かなり経営は改善しました)

さて、では経費の部を考えてみましょう。よく、「飲食店の原価は30%以内」と言われますが、ちょっと専門誌を読んでみると専門料理店の原価は軽々と40%を越えてくることがわかると思います。更にお客さんが来なくてフードロスが出ると、原価はガンガン上昇します。ご他聞に漏れず、僕のお店の原価率も42%くらいはありました。(原価を下げたらお客さんが飛んだのでヤケクソで原価を上げたら立ち直ったというエピソードもありますが、これは別のお話)これで、312万円は残り181万円になってしまいます。

さらに、飲食店には「場所」が要ります。東京都心部だと、10坪のテナントの賃料が一ヶ月100万円なんてこともザラにあります。僕がかつて港区に借りていたテナントは、20坪で30万程度と「格安」の店舗でしたが(本当にこれは信じられないくらい格安でした。色々あって安く借り叩けた)、これで残りは151万円です。

そこに、正社員の従業員が3名いました。本格的な料理を出し、酒を出すお店をやるには最低2人は専属のスタッフが必要です。ホール、キッチン両方をそれなりのレベルに保つには、20坪なら欲を言えば3人欲しいところです。拡大を見込んだスタッフの育成もしなければなりません。彼らの人件費が月間25~30万円。平均27万円として81万円です。これで残りは70万円になります。

そこに、光熱費、雑費、アルバイト代、備品補充費、通信費、従業員の交通費、広告費、交際費、採用コスト、減価償却費、各種保険、クレジットカード手数料(これがキツい!)、ホームページの管理費用、名刺代…細々細々とコストはかかっていきます。さて、これで僕の手残りはどれくらいだったか。はい、まぁ30万あれば良いほうですね。それでも利益率10%近くはあります。飲食店としては「上出来」なのです。

飲食店のコスト計算、地獄のような資金繰り?

何度も言いますが20坪賃料30万の店舗で売り上げ300万越えは「まずまず」なのです。実際飲食店の多くはこの水準まで到達せず、潰れていきます。その数は、年間4割とか5割とかの勢いです。どんどん同期創業がいなくなります。この修羅の世界が「飲食」です。そして、創業にかかるイニシャルコストは本当に安くて数百万、高くて数千万です。どれほど地獄のようなビジネスか、わかっていただけたでしょうか。

ちなみに、この計算はあなた自身がシェフ、あるいはホールスタッフとしてお店に立つことで、あなたの給与分を経費から浮かせることが出来ます。しかし、お店に毎日立たねばならない状態で事業拡大が可能かといえば、それは相当に難しいと言わざるを得ないでしょう。更に考えてみてください、お客様がそれぞれ1ヶ月に1度の頻度で来店するとします。お店を維持するのに「月に1度コンスタントに来てくれる常連」が果たして何人必要になるでしょうか。1日25人の集客を維持するのには、なんと625人の常連客が必要になります。

ちなみに、これは客単価5000円というまずまずの単価のお店ですから「なんとかイケるか?」という雰囲気の数になっておりますが、コーヒー1杯500円のカフェなどの場合は、「おいおい冗談だろ」という数字が出ます。是非、計算されてみてください。

でも、飲食店をやっていくにも、マイクロ起業であれば抜け道はあります。次回はそんな「マイクロ起業だからこそ儲かる飲食業」についてお伝えしたいと思います。

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この記事を書いた人

1985年、北海道生まれ。大学卒業後、大手金融機関に就職するが2年で退職。
現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。
著書に『発達障害サバイバルガイド: 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)、『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)がある。

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