コンテンツSEOは、ユーザーの需要を推測して迎え入れる「インバウンドマーケティング」のような側面があります。そのため、需要の発生原因やその経緯を考慮することで成果につながりやすくなるでしょう。「サーチジャーニー」は、検索ユーザーが欲していることを事前に察知し、成果につなげやすくするためのツールです。ここでは、BtoBにおけるサーチジャーニーの作成について解説します。
「検索の旅」サーチジャーニーとは?
サーチジャーニーとは、簡単に言えば「検索ユーザーが辿る(であろう)検索の旅」のことです。何かを検索で調べるとき、一度の検索で全てが解決するケースは稀です。普通は、キーワードAで検索し、そこで得た情報をもとにキーワードBを認知して検索し、さらにキーワードCを検索して総合的な理解を深める……といった行動をとるかと思います。
このように、検索エンジンと幾度かの対話を経ることで自分の中にある情報が更新され、あらたな欲求の発生/課題に気づき、調査や比較を繰り返していきます。こうした行動の変化を「旅」に例えているのがサーチジャーニーなのです。
もし、「アクセスはそれなりにあるが、成果(問合せ、資料DLなど)につながっていない」という場合には、サーチジャーニーをしっかりと描けていないのかもしれません。サーチジャーニーは、「成果へとつながる隠れた導線」とも言える存在だからです。サーチジャーニーを考慮していないと、導線がどこかで途切れてしまい、せっかく獲得した閲覧者を逃してしまうことになります。したがって、コンテンツSEOを用いた集客ではサーチジャーニーの可視化と、それに基づく導線設計・キーワード/テーマ選定・コンテンツ配置などが必須なのです。
サーチジャーニーを構成する5つのステップ
サーチジャーニーは、以下5つのステップで構成されます。
ニーズ(需要)やウォンツ(欲求)は、「解決すべき課題」から発生します。また、検索ユーザーが抱える(抱えているであろう)課題を把握するためには、ペルソナの作成が必須になるでしょう。
検索ユーザーが「課題を解決するために何が必要か」「どのような方法があるか」を知るステップです。ペルソナの内容によって認知の幅や種類が変化します。
STEP2で得た情報をもとに類似の方法をいくつかピックアップして比較・検討するステップです。このステップで検索ユーザーは多くの学びを得て知識量を伸ばし、認知の幅もさらに拡がっていきます。
STEP3で絞り込んだ解決策の候補から、最適と考えられるものをピックアップし、その背景や評判、効果などを確認するステップです。BtoBであれば、企業情報や実績を確認する検索ユーザーが多いでしょう。
STEP4で自らの選択に大きな間違いがないことを確認した検索ユーザーが、最終的にとる行動です。BtoBでは「問合せ」や「資料請求」「見積り」などが該当するでしょう。
サーチジャーニーマップを用いたキーワード、テーマ選定
では、実際にサーチジャーニーマップを用いたキーワード、テーマ選定の方法を紹介します。サーチジャーニーマップの作成では、その起点となるペルソナが必要です。そこで、まずペルソナを作成するところから始めましょう。今回は、「BtoBマーケティングにおける「ペルソナ(顧客像)」の作成方法」で作成した以下のペルソナを流用してサーチジャーニーマップを作成していきます。
【ペルソナ】
社内システムのクラウド化を想定している担当者。社内システムの担当者に就任して3年目、前職ではSIerの開発職であり、クラウドツールに対して開発、カスタマイズの知見を持つ。日々の運用の中で、基幹部分の処理性能不足から生じる運用負荷の高さを感じている。情報システム部門は5人程度の少人数体制であるが、上長にあたる人物は一人であり、決済や確認のみを行う。他の非IT部門から異動してきた若手であり、システムへの知見は浅い。このことから、自身がほぼ単独で企画を作成し、上長に提案して決済承認をもらう立場にある。
次に、前述の5ステップを表に起こし、ペルソナの状況を可視化します。
サーチジャーニーマップを作成する際は、「検索ユーザーの思考、心理」を下から(潜在層から)記述していきましょう。この列の記述が完了した後は、検索ユーザーの思考から想定されるキーワード/テーマを洗い出して配置していきます。
ちなみにコンテンツSEOでは、比較的集客しやすい「顕在層より上」を狙う方法が一般的です。したがって、まずは顕在層に対応するキーワード/テーマを厚く設定し、コンテンツの量を増やしていくという方法がおすすめかもしれません。
また、顕在層向けに作成したコンテンツの中に、比較検討層や指名確認層へ向けた内容を含めるというテクニックもあります。これは「パーセプションチェンジ(認知の変遷)」を意識したコンテンツ作成方法です。パーセプションチェンジを意識したコンテンツは、1記事の中で検索ユーザーの意識変化を促し、別のコンテンツへと誘導することで自社コンテンツ群の評価を高めることができるのです。
パーセプションチェンジについては、次回の記事で詳しく解説する予定です。
キーワード選定時のポイント
潜在層および顕在層では「一般名詞」を中心にキーワードを選定し、比較検討層および指名確認層では「固有名詞」を選定していきましょう。上位の層にいくほど知りたい情報や目的が具体的になるため、それに合わせてキーワードの選定方法も変えていくわけです。
また、専用のツールを使うことでキーワード選定の労力を削減できるため、積極的に活用していきましょう。代表的なツールとしては「キーワードプランナー(Google)」や「ラッコキーワード」などが挙げられます。さらに、SEO対策企業が開発した独自ツールの利用や、キーワード選定自体を依頼することでも精度が向上していきます。
まとめ
ここでは、コンテンツSEOのキーワード/テーマ選定に欠かすことができないサーチジャーニーマップの作成方法を紹介してきました。サーチジャーニーマップは、コンテンツ群を俯瞰的にとらえ、過不足を認識するための羅針盤です。本格的なコンテンツ作成の前に、ぜひ一度作成してみてください。次回は「パーセプションチェンジ」について解説します。