バーチャル経営イノベーション実践編~新規事業のためのBtoBマーケティングとは②

 前回は、新規事業に特化したBtoBマーケティングとして、発生しがちな課題や既存事業との違いについて解説しました。今回は引き続き、商材の認知度別にBtoBマーケティングを解説していきます。

目次

商材の認知度によってとるべき施策は違う

新規事業では新しい商材を扱うことも珍しくありません。また、「商材の認知度」もバラバラです。そのため、商材の認知度によってマーケティング施策の内容を変えていく必要があるでしょう。具体的には、以下のような点に着目して場合分けをしながら施策を変えていくべきです。

「トランザクショナルクエリ」で検索されているか

まず、商材が検索エンジンでどの程度、どのようなキーワードで検索されているかを調査します。次に、その結果を3つのクエリにまとめていきましょう。3つのクエリとは「トランザクショナルクエリ」「インフォメーショナルクエリ」「ナビゲーショナルクエリ」です。

トランザクショナルクエリ

トランザクショナルクエリとは取引や購買行動に直結するクエリです。検索意図に明確な欲求(~したい)が含まれ、最も購入に近いクエリです。具体的なサービス名や製品名などが含まれます。

インフォメーショナルクエリ

検索意図が主に情報収集(~を知りたい)であるクエリで、取引や購買からは少し距離があります。BtoBの場合は「業務効率化の方法」など、主にノウハウ系のキーワードが含まれるでしょう。

ナビゲーショナルクエリ

検索意図が案内(~へ行きたい)である検索クエリです。BtoBの場合は、検索キーワードが社名である場合が多いでしょう。

上記3つのクエリのうち、新規事業のBtoBマーケティングで最初に着目すべきは「トランザクショナルクエリ」です。もし、トランザクショナルクエリが存在していれば、商材が何らかのかたちで認知されていることになります。また、購買意欲を持った顕在層・準顕在層が存在している可能性が高いです。逆にトランザクショナルクエリが存在していなければ、商材が認知されておらず、潜在層のみの可能性が高くなります。

商材の認知度別、とるべき施策

では、トランザクションクエリがある商材(商材が認知されていて顕在層、準顕在層が存在している場合)と、そうではない商材で、取るべき施策を整理してみましょう。

トランザクショナルクエリがある場合

自社製品・サービスの名称や関連キーワードでWeb検索されていることが確認できている場合は、Webマーケティングの各施策に注力すべきです。なぜなら、Google、Yahooといった検索エンジン経由で新規リードを獲得できる確率が高いからです。バーチャル経営では、以下のような施策を推奨しています。

イメージとしては、顧客インタビューや営業担当から得た情報をもとにサイト構成やコンテンツの内容を改善していきます。また、ペルソナやカスタマージャーニー、サーチジャーニーなどを通じて顧客の解像度を上げていき、質の高いリードの獲得を目指します。もし、リードが獲得できない場合は、広告やSEOへの投資を増やし、状況次第でアナログ広告への出稿も検討します。さらに獲得したリードを商談・受注につなげる施策として、以下も併用するとよいでしょう。

トランザクショナルクエリがない場合

関連キーワードでも検索されていない場合は、トランザクショナルクエリが存在していないことになります。この場合は、以下2つのパターンのうちいずれかを実行します。

ターゲット企業の特徴が絞り込めていない場合

認知されておらず、ターゲットが広い場合は、商材の内容から一旦離れて集客に専念します。具体的には、潜在層が興味を寄せているであろうテーマで、セミナーやウェビナー、展示会などを開催していきましょう。また、SNS広告やコラム記事、資料DLなどを併用しながら、まずはリードの数を増やすことに専念してみてください。特にウェビナーは、コロナ禍以降、一気に普及した比較的新しい施策です。「聴衆からの質問にリアルタイムに解答できる」「資料DLやホワイトペーパーDLにつなげやすい」といったメリットがあります。もし、ウェビナー開催に関するノウハウがない場合は、ウェビナー企画サービスなども検討してみてください。

ただし、セミナーやウェビナー、資料DLなどで獲得した顧客は商談につながりにくいという特徴があります。もし商談化率が低ければ、少人数セミナーや勉強会などで信頼関係を築き、徐々に商談へつなげていくと良いでしょう。

ターゲット企業の特徴が絞り込めている場合

ある程度ターゲット企業を絞り込めている場合は、テレアポ、DM、少人数ウェビナー、ABMなどを検討してみましょう。ちなみに、バーチャル経営で特に推奨しているのはABMですね。ABMは、「ニッチ市場の顧客から見つけてもらう」という効果が期待できます。これについては過去の記事でも解説しているので参考にしてみてください。ABMについては、弊社でも独自のサービスを展開しています。

まとめ

ここでは、新規事業のBtoBマーケティングを商材の認知度別に解説しました。新規事業のBtoBマーケティングは、基本的に既存事業と同じような施策を進めていきます。ただし、各施策の使いどころや繋げ方が既存事業とは異なります。もし、BtoBマーケティングのノウハウを持っていない場合は、伴走支援を活用することも視野に入れてみてください。次回は「イノベーションとICT」について解説します。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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