バーチャル経営イノベーション実践編~イノベーションと新規事業の実現に向けたICT導入の順序とは

現代のビジネス環境でイノベーションを起こし、新規事業に発展させるためには、ICTの力が不可欠です。ただし、ICTはそれぞれ得意領域が異なります。また、闇雲に導入すればよいというものでもありません。ビジネスの成長度合いに合わせて、適切な順序で導入することで力を発揮するものだからです。そこで今回は、イノベーションと新規事業の実現に向けたICT導入について解説します。

目次

イノベーションに欠かせないICTの力

冒頭でも少し触れましたが、現代社会でイノベーションを起こすには、ICTの力が不可欠です。これは多くの経営者が実感していることだと思います。そこで、なぜイノベーションとICTが結びつくのかを、もう少し具体的に分析してみたいと思います。

イノベーションの原理

バーチャル経営では、ドラッカーが提唱するイノベーション論を参考にしています。ドラッカーは、イノベーションを以下3つの原理で説明しています。

機会の分析

以前の記事でも紹介したように、ドラッカーはイノベーションには7つの機会があると述べています。7つの機会とは、「予期せぬことの生起」「ギャップの存在」「ニーズの存在」「産業構造の変化」「人口構造の変化」「認識の変化」「新しい知識の出現」であり、いずれの機会からもイノベーションが発生しえます。

知覚的な認識と論理的な分析

知覚的な認識とは、実際に見聞きしたことや問いかけで得られた情報を指しています。知覚的な認識は、顧客ニーズを知るために有用であり、ここで得た情報を論理的に分析することでイノベーションが生まれるとしています。

フォーカスと単純化

ドラッカーは、イノベーションを成功させるために、ひとつのことに集中しなければならないと述べています。成功したイノベーションの多くは、シンプルで具体的なのだそうです。

以上の3点を俯瞰してみると、あることに気が付きます。それは、いずれも現代の企業向けICTの強みと重複するということです。ビッグデータは機会の分析に使用されますし、AIは人間の知覚に近い情報を集めて分析することに長けています。また、CRMやERPは複雑な業務の流れを可視化して単純化することができます。イノベーションを目的としたICT導入は決して多くありません。しかし、DXの一環として導入される例が増えていますよね。DXは、見方を変えれば「イノベーションを起こしやすくする体制づくり」です。したがって、適切なICTの導入はDXだけでなく、イノベーションへの距離も縮めてくれるものだと考えます。

イノベーションと新規事業の実現に向けた「ICT導入の順序」

ただし、単にICTを網羅的に導入してもイノベーションを実現することは難しいでしょう。なぜなら、ICTは企業規模やビジネスの成長度合いに応じて導入しなければ、真の力を発揮できないからです。

例えば、大企業がERPを導入する場合、まず会計領域を固め、そこからサプライチェーンやバックオフィスへと展開することが多い印象を受けます。しかし、この方法は中小企業にはあまり適していません。大企業の場合、経営の健全性を対外的に証明するために会計情報が必須であり、ここでERPが役立ちます。一方、中小企業には大企業ほど会計情報を公開する必要がありません。また、既存の社内システムで十分に対応できることも多く、コスト面から導入を見合わせるケースが多いようです。

したがって中小企業の場合、MA・SFA・CRMといった「効果が出やすい攻めの領域」からICTを導入し、イノベーションと新規事業の成立を目指す方法がおすすめです。

例えば、MAは、新規事業の市場調査や顧客のペインポイント、Must haveなどを発見するためのツールとして役立つでしょう。同じように、SFAやCRMも営業部門が持つノウハウを横展開し、顧客課題の把握や関係改善に役立てることができます。

このように中小企業の場合は、

  • MAでマーケティングとリサーチを強化する
  • SFAで営業部門を強化し、情報を横展開する
  • CRMに情報を蓄積し、顧客接点の改善やプロダクト開発に活かす

という具合にICTを導入することで、徐々にDXやイノベーションに近づいていくと考えています。また、ERPが持つ特性も、イノベーションと新規事業を軌道に乗せるためには必須に近いものです。なぜなら、ERPは収益/コスト構造の可視化に長けたツールであり、新規事業の推進・撤退の判断に欠かせないからです。

以上のことを考慮すると、まずMAを導入し、次にSFAやCRMの特徴を併せ持つERPの導入という順番が最適解に近いかもしれません。

バーチャル経営がイノベーションと新規事業の実現をサポート

バーチャル経営では、DX推進のためにMASFACRMなどの活用を推奨してきました。また、安価でありながらSFAやCRMの機能も内包するクラウド型ERPの活用も推奨しています。

具体的には、MAとして「Pardot」、SFAとして「Sales Force」、CRM/ERPとして「Netsuite」を紹介しました。ちなみにNetsuiteは非常に高機能で、単体で中小企業の経営資源を可視化し、業務効率化や生産性向上などに役立てることができます。また、強力なBI機能によって情報分析を効率化し、ビジネスモデル構築に必要な情報の蓄積もサポートします。

製造業のイノベーション「ファブレス」にも強み

Netsuiteは、製造業におけるイノベーションにも貢献できると考えています。例えば、「ファブレス化」です。ファブレスとは、自社で製造を行わず、設計部分だけを担うビジネスモデルです。社内のリソースを設計・開発に集中させ、革新的なアイディアや製品・サービスを生み出しやすくできることが強みと言われています。実際に海外の製造業を中心として、製造を自社から切り離すことで利益率を上げる例が増えているようです。

ただし、それまで自社工場での製造が前提であったビジネスモデルをファブレスへ変更するわけですから、業務フローが変わってしまいます。具体的には、外注先(ファウンダリ企業)とのやり取りが増え、生産・品質管理のフローなども大幅に変更されるでしょう。当然のことながら、ICTも大幅な組み換えを迫られます。

Netsuiteであれば、こうした製造業のファブレス化にも比較的容易に対応できるのです。なぜならNetsuiteはAPIによるシステム間連携を得意としており、従来型のERPよりもビジネスモデルの刷新や業務フロー・ICTシステム連携の変更に対応しやすいからです。

イノベーションを支援する統合型サービス「ベンチャーネットエンジン」

以前の記事で、DXのみならずCX(コーポレートトランスフォーメーション)やVX(バーチャルトランスフォーメーション)を支援する統合的なサービス「ベンチャーネットエンジン」を紹介しました。

ベンチャーネットエンジンは「組織を根底からシステム化する」ことをテーマに作られたICTツール・伴走型サービスの集合体です。MA・SFA・CRM・ERPのみならず、経営の自動化・システム化に役立つさまざまなツールとサービスを連携させます。これにより、イノベーションと新規事業のサポートができると考えています。

まとめ

ここでは、イノベーションとICTの関係やICTの導入順序について解説しました。ICTをどのタイミングで、どう使うかによってイノベーションと新規事業の成功率は上下します。中小企業の場合「まずは攻めの領域から」をテーマに、ICTの導入を進めてみてください。また、ベンチャーネットではこれらICTツールに関する導入・運用のノウハウを有しています。もしご興味があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

持田 卓臣のアバター 持田 卓臣 株式会社ベンチャーネット代表取締役

株式会社ベンチャーネット 代表取締役
2005年に株式会社ベンチャーネットを設立後、SEOをはじめとするデジタルマーケティング領域のコンサルティングサービスを展開
広告・SNS・ウェブ・MA・SFAと一気通貫で支援を行っています
著書に『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業 「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA、2020年)

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