世界のほんの少し足りないところ~生きる力②~(借金玉のマイクロ起業 Vol.20)

前回は、僕自身の「マイクロ起業」のスタイルについて再考しました。今回は、そこから自分にとっての「マイクロ起業」の進み方を考えてみたいと思います。

目次

世界は実は洗練されきってはいない

僕はこれまでもお伝えしてきた通り、一度起業して失敗、死ぬような思いをしてきました。そして、また起業に挑みつつある今思うのですが、世界ってものはまだ洗練されきってはいません。

「これがあれば便利だな」という隙間はまだまだたくさんあります。そして、中小零細企業にはそういった隙間が特にたくさんあります。たとえば、最近僕は「書類作成一括化エクセルシート」を外注して、それを売るというささやかな仕事をしました。

これは、複数枚に渡る書類に同一のデータを1度に入力するという本当にささやかな機能のエクセルファイルなのですが、その会社には作れる人が誰もいなかったのです。また、年に100回ほど発生するある種の定例業務のスケジュールを一元管理するエクセルシートも作りました。一定の期日が近づいたものからポップするというこれまたシンプルなものですが、これも非常に喜ばれました。これまでの紙媒体管理の比ではないほど楽になったということです。

これらはそれぞれ2万円で外注して4万円で売りました。作った人も「これで2万貰っていいの?」と言っていましたし、僕も「これで4万円貰っていいの?」と思いましたが、買った会社はとても喜んでおりました。
というのも、「会社の業務内容にピッタリのささやかなツール」というのは意外と存在しないんですね。最も高度な技術を用いた商品が必ずしも求められるわけではありません。
ちょっとした知識とちょっとした技術が結合したところに、意外と「これは便利」は生まれてしまうのです。

そしてそれはガワの小さい中小零細企業ほど顕著に現れて来ます。大企業のように大型化され高度にシステム化された事業と違って、中小零細企業は対応力が非常に重要です。業務が定型化できないため現場の裁量とアドリブでこなしている業務に用いるツールは、高度で精緻なものより、シンプルでアバウトなものの方が便利だったりするのです。

お金を稼ぐ力-生きる力

かつて僕は世界に風穴を開けてやろうとして、失敗しました。しかし、今になって思うのは、世界に大きな風穴を開けるのはとても難しいことだけど、ささやかな虫食い穴は無数に空いている、ということです。ある業界で、あるジャンルでナンバーワンの知識や技術を手に入れるというのは並大抵のことではありません、しかし凡庸な知識Aと凡庸な技術Bが結合すると、あっさりとお金になってしまう。そういうことは本当によくあります。

僕はずっと、革新的な商品を、最高の商品を、誰にも真似できない商売を、と考え続けて来ました。そして、今になって思うのは、それはたった一つの最高の商品ではなく、凡庸な商品をいくつか上手に組み合わせたものなのだ、ということです。知識、技術、経験、人脈、こういった手持ちのアイテムを上手に組み合わせると、わりとあっさり「お金になる」話は出来上がります。

たぶん、これはちょっと失礼な話なんですけれど、僕にもここを読んでいる皆さんの多くにも「誰にも負けないオンリーワンの技能」は無いと思います。少なくとも僕にはありません。でも、ちょっとした知識や経験が無い人というのは存在しないと思います。それらを上手に組み合わせ、世界のささやかな虫食い穴をふさいでやる。これがマイクロ起業であり、また会社組織に頼らずお金を稼ぐ技術の基本だと思います。

あなたが持っているものを誰かは今まさに求めているかもしれない、あなたの「取るに足らない」と自覚しているものは、実は誰かにとって大きな価値のあるものかもしれない。そこを上手にマッチングさせることを探していくことが、マイクロ起業であり、生きる力だな、と最近は思っています。

そういうわけで、良い報告です。外注と自作の「ショボいツール開発販売」業がガツンと利益を叩き出しましたので、12月は15万オーバーの大黒字です。今後は、僕の知識の範囲で、「こういうのあったら便利じゃない?」という業務ツール作成業にも参戦していく予定です。是非ともご期待ください。儲けていきますよ!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

1985年、北海道生まれ。大学卒業後、大手金融機関に就職するが2年で退職。
現在は不動産営業とライター・作家業をかけ持ちする。
著書に『発達障害サバイバルガイド: 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47』(ダイヤモンド社)、『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)がある。

目次